【連載】突撃!ズバリ教えて隊

「5G」とは一体なんですか? 「4G」のままじゃ、どうしてダメなんですか?

2020/01/03 21:00
有山千春(ライター)

「わざわざ調べるほどじゃないけど、なんか気になる」「知らなくても損しないけど、どうせなら覚えておきたい」……日常にあふれる“素朴なギモン”、ズバッと聞いてきました!

 2020年の春からサービス開始が予定されている、次世代移動通信システム「5G」。……といっても、実際「5G」ってなんだかよくわからない人が大半なのでは(もちろん、筆者もその一人)。どうやら、アメリカや中国、韓国ではすでにサービスが開始されており、現在広く普及している「4G」よりも、通信速度が100倍速くなるのだとか。いやいや、ホントに!? 「4G」でも十分速いけど!?

 もうちょっと詳しく知るために、大手携帯キャリアの公式サイトをチェックしてみる。それぞれ「5G」の解説ページを設けており、かなり力を入れているようだ。

 ソフトバンクは5Gについて、「『超高速』『大容量』『低遅延』『多接続』『高信頼』などの特長を持つ」「AI、IoT、スマートカー、ロボット、VRなどの新しいビジネス領域を切り開いていくと予測」と解説している。詳しいことはよくわからないけど、“スゴイ”ことだけは伝わった。新しいビジネスの例として、「遠隔医療や工場の自動化に役立つ ロボットアームの遠隔操作」「建設現場の未来を変える 高負荷な処理が必要な3D設計図をタブレットで操作」といろいろ並べられているものの、これらが今の暮らしにどう役立つのか、イマイチ実感が沸いてこない。

 NTTドコモはさらに力を入れているようで、今年1月に『DOCOMO Open House 2020』なるイベントを開催し、そこで「5G」を大プッシュするよう。公式サイトを見ると、「2014年から実証実験を開始し、2019年9月20日にプレサービスを開始」とあり、思わず「そんな前から!?」と驚いた。こちらでも「ドライバーの眠気などを、カメラやウェアラブル端末から車載AIロボットが検知」「他国語での会話はデバイス間でリアルタイムに通訳」と具体例が挙がっており、「5G」によって便利な生活がもたらされるとアピールしている。

 でも、普通に生活しているだけなら、「4G」でも十分に通信速度は速いし、ほとんど不便を感じない。それに、「4」が「5」になった程度で世界がガラッと変わるとも考えにくい。そこで、思い切ってNTTドコモに話を聞いてみた。

「『5G』とは一体なんですか? 『4G』のままじゃ、どうしてダメなんですか?」

広報担当者 「5G」に関しては主管部署が多岐にわたるため、数日間は時間をいただくことになります。

 ううむ、大手企業っぽい回答~! 仕方なく数日待ち、あらためて聞いてみたが……。

広報担当者 いただいた質問についてですが、弊社のみで回答しきれるものではない質問もあり、関係各所に確認をしてもらっているところです。おそらく、年内の回答は難しそうな状況です。

 なんか、めっちゃ大ごとになってない!? いや、そりゃあ国家規模のプロジェクトでしょうから、簡単に答えが返ってくるわけないですよね。大変失礼いたしました……! というわけで、今回は「5G」に詳しい国際技術ジャーナリストの津田建二氏に質問をぶつけてみた。

――「4G」から「5G」に変わると、一体どうなるんですか?

津田建二氏(以下、津田) 「4G」から「5G」への変化というのは、わかりやすく言うと、高速道路の幅を広げるようなことです。「4G」が2車線だとすると、「5G」はそれを4車線、8車線、10車線と広げていくイメージですね。「4G」だと渋滞してしまうけど、「5G」にしたらたくさん車が通れて、走る速度も上がる。要するに、高速移動できる車に乗り換えるわけではなく、今まで通りの車に乗りながら、快適に通行できるよう道路を整備するのが「5G」ということです。

 「4G」が渋滞する原因は、携帯電話で撮影した動画をSNSにアップしたり、動画配信サービスで映画を見たりといった、今では日常的になった行動です。それに20年夏には、東京オリンピックが開催されますよね。新国立競技場に集まった6万人以上の観客が一斉に動画をアップすると、「4G」のままでは回線に負担がかかって、パンクしてしまうかもしれません。これを今まで通り快適に、サクサク通信を行うため「5G」にしようという話なので、「5G」に変わったからといって、いきなり近未来が訪れるということではないですね。

――大手携帯キャリアのサイトを見ると、「超高速」といった言葉もありました。生活に大きな変化はなくても、「5G」はやっぱり通信速度が速くなるのでしょうか?

津田 20年の時点では、「4G」と「5G」はそこまで変わらないと思います。日常生活の中で変化が感じられるのは、30年頃じゃないでしょうか。一応、「5Gはこれくらいの通信速度を目指しましょう」というのが世界的に決まっているのですが、これはあくまで“目標”なので、今はどこの国もそれを目指している段階。「5G」は、これからも開発が進んでいくということです。遠隔操作で手術ができるようになるなど、「5G」によって大きく変化する業界もありますが、日常生活のレベルでは、私たちが知らないうちに変わっていくことがほとんどでしょう。

 夢のある話のように思えるけど、全然そんなことなかった「5G」。でも、今の暮らしを続けていくため、欠かせない変化だということもわかった。とりあえず、「5G」がブイブイ言わせてるだろう2030年の未来をこの目で見るために、「健康に気をつけよう」と現実的なことを思ったのだった。

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有山千春(ライター)

有山千春(ライター)

AV制作会社広報、実話誌編集者を経てフリーライターに。女性向けWebサイトや週刊誌等で執筆中。

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Twitter:@sansihumiko

最終更新:2020/01/29 16:29
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