インタビュー【前編】

【ユーチューバー炎上まとめ2019】ゆたぼん、ジョーブログ、わかにゃん……“炎上弁護士”唐澤貴洋氏が物申す!

2020/01/01 18:00
有山千春(ライター)
唐澤貴洋弁護士

 藤田ニコル、辻希美、速水もこみち……彼らは全員、2019年にYouTubeで公式チャンネルを開設した、“芸能人YouTuber”である。Webサイト「ユーチューバーNEXT」の調査によると、現在芸能人が開設したYouTubeチャンネル数は350に上ると見られ、そのうち3分の1にあたる118チャンネルが、19年に開設されたものだという。同調査では、17年が32チャンネル、18年が47チャンネルの開設だったというから、19年にどれだけ芸能人YouTuberが増えたかよくわかる。

 数字だけを見ると、活気のある明るい業界のように思えるが、その半面で問題も多い。19年9月には、人気YouTuberグループ「東海オンエア」が、約1カ月間宿泊し“ゴミだらけ”になったホテルの部屋を動画で公開し、「迷惑行為!」「調子に乗ってる」とネット上で批判を浴び、大炎上した(既報)。最近活動を始めたばかりのYouTuberならば、「注目されたいがための軽率な行動」と言えるかもしれないが、彼らは13年から動画投稿を始めたベテランな上に、HIKAKINらが所属する大手YouTuber事務所「UUUM」の一員。言い逃れが許される立場ではないだろう。

 「東海オンエア」の一件以外にも、19年はYouTuberの“炎上案件”が相次いだ。なぜ彼らは、ここまで頻繁に燃えてしまうのだろうか? 現在もネット上で誹謗中傷を受け続け、殺害予告を受けた数は日本人最多だという、“炎上弁護士”こと唐澤貴洋氏に、その理由を聞く。自身もYouTubeの動画をよく視聴しており、「弁護士唐澤貴洋の CALL IN SHOW」というチャンネルを運営している唐澤氏は、YouTuberの炎上をどう見たのか。特に大きな話題となった案件をピックアップし、月ごとに振り返っていく。

わかにゃん騒動・所属事務所からの給料未払い、所属メンバーからのいじめを告発|1月

 メイク動画などで人気のわかにゃんが、所属事務所・株式会社VAZから給料が支払われておらず、一部家賃のサポートも滞っていると動画で告発。さらに、事務所所属のメンバーからいじめを受けているとも明かし、『めざましテレビ』(フジテレビ系)や「デイリー新潮」がこの問題を取り上げるまでの騒動に発展した。

 わかにゃんからの告発を受け、VAZは公式サイトに「所属YouTuberに関する発信・報道について」と題した“声明”を発表。しかし、給料の未払いについては「事実ではありません」、家賃サポートについても「合意書の締結がなされておりません」と、わかにゃん側に不備があったとしている。

――唐澤弁護士は、この一件をご存じでしたか?

唐澤弁護士(以下、唐澤) はい、リアルタイムで見ていました。最も興味深い点は、本来だったら内輪かつ密室で話し合われるような内容を、YouTubeの告発動画とVAZの“公式文書”を通して、誰にでもわかる形でやりとりが行われたところです。見る人にとっては面白いんだけど、問題を解決する方法としてはよくなかったんじゃないか、と思います。

――これって、結局誰が一番悪かったんですか?

唐澤 うわっ、危ない質問。それを僕に答えさせようとするなんて……。そもそも、「何が本当か」がわからないんですよね。問題は大まかに、「報酬不払い」「家賃負担によるゴタゴタ」「いじめ」の三つで、どれもわかにゃんさんがVAZ側に対応を求めていることです。

 わかにゃんさんの弁護士が出したプレスリリースから経緯を追うと、結果的に報酬は支払われているけれど、その支払いは遅れていたとか。また家賃については、お互いの主張が食い違っており、真相はわかりません。「誰が一番悪い」というより、当事者間のコミュニケーションがしっかり取れておらず、話が噛み合っていないのがよくなかったと思います。

――企業の対応として見た時に、気になる点はありますか?

唐澤 わかにゃんさんの告発動画に対し、VAZが“公式文書”でアンサーを出していたことですね。これは過去にあまり例がないように思います。というのも、公式文書は「結果」が出てから公開するのが一般的だと思いますが、この場合は「途中経過」が全部出てしまっているんです。わかにゃんさんに動画を作られたから、VAZとしては反応せざるを得なかったんでしょうけど、公式文書を出す前に、まずは時間をかけて本人と話すべきではないのかなと。会社にとって、損な行動だと思いましたね。

――ちなみに、唐澤弁護士はYouTubeをよくご覧になるとのことですが、わかにゃんさんのことはお好きですか?

唐澤 世代的に見る動画が違うので、この件で初めて知りましたよ。最近見ているYouTubeチャンネルといえば、競馬予想を取り上げる「キングスポーツカリスマ」、競馬予想をされている星野瑠利さんのチャンネル、水上学さんの「KEIBA大学」くらいなので。これを聞きながら眠りにつくんです。競馬チャンネルはみんな馬と向き合っていて、平和ですよ(笑)。

炎上弁護士
ゆたぼん、唐澤弁護士に声を掛けるなら今だよ!
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