インタビュー

山口組、住吉会も「タピオカドリンク」参入! ブームをシノギにするヤクザの“次なる資金源”は?

2020/01/11 18:00
安楽由紀子

高級パン、民間療法、ジムがヤクザのシノギに!?

――ほかにも、ヤクザが流行をメシの種にしている例はありますか。

鈴木 以前、京都でバターを大量に使った高級なデニッシュパンがブームになりましたが、これは工藤会が出資していましたね。銀行だと融資までに1~2カ月かかるところ、暴力団は即日お金を持ってきて1週間後には契約できる。はやりものにすぐに投資して、ブームが収束する前に大金を回収して手を引く。ヤクザっていうのは腰が軽くて、飲食店への出資は昔から多いですよ。

 ほかにも、15年ほど前、エステや民間療法がはやったとき、ヤクザも投資をしていましたね。友人のライターが怪しい医者を追いかけていたら、俺の知り合いのヤクザが経営している病院の医者だったということがあった。今はやりのジムに参入している暴力団も多いんですよ。

――どういうふうに商売のタネを見つけてくるのですか。

鈴木 暴力団の親分に「俺たちのシノギの場に連れて行ってやる」と言われ、会食に連れて行かれたことがあります。そこには商売をしようとしている人、一方で、夜の仕事なんかで大儲けした人がいて、つまりヤクザは、お金を借りたい人とスポンサーを結びつけるというコーディネーターのような役割を担っていました。ヤクザ本人が投資したい商売があれば、参入したりもしていましたね。暴力団は1億円でも2億円でもすぐにお金を融通できるので、短期でお金がほしい人は頼ると思います。

 俺たちは世間から「ヤクザの味方」と言われないように、意識して暴力団を悪く書くけれど、実際には、付き合った仲間を食いものにするようなヤクザはいない。ごくたまにどうしようもない奴もいるけど、それは特殊な例で、どこの業界でもあることなのではないでしょうか。

――投資した中には失敗した事業もあるのでしょうか。

鈴木 それはあると思いますよ。だいぶ昔、ドトールが店舗数を増やし始めたときに、ヤクザ もコーヒーショップをたくさん出店したけど、失敗して潰れていました。太陽光発電システム に設置すると電気代が全部無料になるという機械に、何千万円も出資して失敗したという話も聞きましたね。あと、FXのバイナリーオプション・ハイローという、為替の動きを上がったか、下がったかの2択だけで予測する投資があるのですが、その結果を予想するパソコンソフトというのがあって、50万円だか100万円だかするものだそうです。しかし、その投資もあまりうまくいっていないという話ですよ。ヤクザは山っ気があるから、丁半博打と同じようなもので、儲かるときもあれば大損するときもあったりします。

――暴力団が時代を読むのに優れているわけではなく、いろいろなことに手を出して、たまたまタピオカドリンクのように大当たりするものもあるということですね。

鈴木 タピオカは大当たりには入らないと思います。単価が安いから。そんな微々たる儲けじゃダメだよね。ただいくつか店舗を持ったら、それなりの儲けにはなるかもしれません。

――今後、資金源になりそうなものはありますか。

鈴木 はやりものにはなんでも手を出しますよ。特にタピオカドリンク店同様、「作るのにスキルがいらない」「従業員はアルバイトでいい」「店は狭くていい」というポイントを押さえたはやりものが出たら、参入するでしょうね。ブームが終わりつつあるタピオカドリンクからは、もう手を引くと思いますよ。

教養としてのヤクザ
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