【特集:安倍政権に狙われる多様性ある社会】

家庭内に押し込まれる子育て・介護、DV、虐待問題――安倍政権と保守派の「24条改憲」の狙いは何か?

2020/01/08 18:30
小島かほり

戦前回帰が見え隠れする、自民党の改正案

――ではなぜ保守派は、事あるごとに24条を狙っているのでしょうか?

清末 改憲の動きは、1951年のサンフランシスコ講話条約以降に、保守派が始めます。改憲といえば9条(戦争の放棄)に注目が集まりますが、保守改憲派にとって9条以上に嫌なのは、象徴天皇制と、家制度を解体・否定した24条です。「両性の本質的平等」や「個人の尊厳」を、家族の調和を乱す元凶と見なしているのです。「個人の尊厳と言うから利己主義になる」というのが彼らの主張です。

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 そこに「家族は、互いに助け合わなければならない」という文言が入る具体案が12年の改正草案ですけど、05年の自民党の改憲の論点整理でも24条を「家族や共同体の価値を重視する観点から見直すべき」と言っていました。そこから、24条見直し論が12年に実際の条文案として出てきたという流れですね。その中に、「家族の助け合い」というおかしなものが入ってくる。

――自民党の改正草案をベースに、24条改憲の問題点を教えてください。

清末 そもそも「家族の助け合い」というのはモラルでしょう? 憲法は権利を保障するものですから、モラルや道徳が入ってはダメ。立憲主義的に考えても、あり得ないんです。それに「家族の助け合い」とは、要は子育てや介護の負担を全面的に家族に負わせる根拠になるものです。少子高齢化で家族にどんどん介護が押し付けられ、払った税金が社会保障として戻ってこなくなるわけです。また、憲法に自衛隊が明記され、実際に安保法制のもとで戦場に送られるときに、「家族の助け合い」なんか求められたら……戦場に行く兵士を支えろということですよ。まさに大日本帝国の様相です。

――女性学ではよく「家制度が戦前の天皇主権国家を支えた」と指摘されますが、一般の人にはわかりにくい概念なのでご説明いただけますか?

清末 大日本帝国は家族のような国家で、元首である天皇が国家の父であり唯一の主権者、臣民と呼ばれる国民がその子どもという概念です。家の中には男性優位の家制度として同じような縦社会があり、戸主は家の構成員に対して扶養義務がある一方、その構成員に対する婚姻等の同意権等を含めた権限を持っていた。つまり戸主が家を統制する仕組みを導入することで、帝国の土台がつくられたのです。家制度の廃止=家の中のヒエラルキーをなくすという意味ですから、天皇主権国家のヒエラルキーを崩したことと非常によく似ています。それを可能にしたのが、家制度の解体(24条)と、教育制度の自由主義化をもたらした旧教育基本法です。愛国教育は家制度以上に臣民を作ることに大きな役割を果たしました。だから、第一次安倍内閣は、06年に教育基本法を“改悪”して、愛国心を育むことを教育の目標のひとつに入れたわけです。「教育」に手を打ったから、あとは24条改憲で、家制度に通じるような家族に関する“モラル”を浸透させたいのです。その発想のもとで、夫婦別姓については「家族を崩壊させるもの」として一貫して反対しています。

――「家族は大切で、助け合うべき」との言説は一般的に反論しづらい面がありますが、危険な条文ですよね。

清末 同性婚法制化のために、「両性」を「両者」にするだけならすぐには何も変わらないかもしれませんが、24条1項を一度でも触って改憲の“走り”をつけたら、次から次へ変わる可能性がある。その時に2012年の改正草案に近づいていくのでしょう。家族条項の影響は大きいですから、安倍政権のもとでの改憲は危険なのです。

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