[女性誌速攻レビュー]「Seventeen」1月号

「Seventeen」24日間で「彼氏を作る方法」が無謀! 「テスト中に朝まで電話」作戦の危うさ

2019/12/27 13:31
藤本なつき(ライター)

24日で彼氏を作る! 無茶なスケジュールに疑問符

 続いて見ていくのは「“イブにイルミで告白”が目標! 勉強も恋も計画性が大事なんです 12月の#モテクプランナー」という企画。意中の男子と恋人になるため、24日間を「友達になる期」「距離を縮める期」「特別な存在になる期」「脈あり確認期」「ほぼ告期」に分け、段階的に距離を縮めていくというものなのですが、それぞれ期間が4〜6日間となかなかハードスケジュール。

 まずは、意中の男子と友達になるべく、あの手この手で気を引きます。「ヘアコロンをつけていく」「目が合ったら手を振る」「大きめのマフラーをつけて登校」するなど、自身の存在に“気付いてもらう”段階からのスタート。新学期から半年以上たっているのに、この距離感ですし、本当に付き合うことができるのか……先行きが不安になります。その後、「距離を縮める」ための作戦として、彼のインスタグラムのストーリーに反応したり、グループLINEではなく個別でやりとり、テスト勉強中に朝まで電話を掛けることを提案。学校では遠くから彼に接するST読者も、SNS上であれば積極的になれる様子ですが、テスト期間中に朝まで電話とは……正直、迷惑極まりない行為だけに、逆に意中の男子から距離を置かれてしまわないか心配です。

 展開の早さに驚きながらも「特別な存在になる期」に突入すると、今度は「2人で帰宅」「2人で飲んだタピオカをストーリーに載せる」ことで、相手に自身の存在を意識させるそう。しかし最も重要な「2人でタピオカを飲みに行く」までの過程や誘い方のアドバイスはすっ飛ばされており、違和感を覚えます。その後、「脈あり期」にはクリスマスの予定を聞き、「ほぼ告期」には片想い中の彼や友達に「自分の気持ちをダダ漏れ」にさせ、あとは告白を待つのみという流れでした。

 綿密なプランやその記録を残す手帳「スタディープランナー」風に、彼氏ゲットの手順を提案しているということですが、恋愛は相手があってのこと。計画通りに進めるのは至難の業ですし、無謀な挑戦のように思えました。

“チリツモ精神”で年末年始の冬太り解消は無理!? ネタのような美容法

 最後にチェックしたのは、「年末年始本当にコワいのは、“おひとり様”じゃなかった! “お太り様”にならない年末年始」というビューティー企画。ごちそうを食べる機会が多い年末年始ですが、太らないための「生活の掟15」と「食べ方の掟11」を紹介しています。

「生活の掟15」では、毎朝2分のサーキットトレーニングとスクワットをするといった、家でできる王道の筋トレを「掟」として紹介しているほか、「バーゲンや初売りなど、あえて人ごみに出かけるべし」という驚きの掟も。解説によると、「アドレナリンが出て、脂肪を分解する酵素“リパーゼ”が働くから脂肪燃焼に。単純に汗をかくことでの代謝アップ効果を期待できる」とのこと。どうやらSTは、“塵も積もれば山となる”精神が強いようで、ほかにも『NHK紅白歌合戦』で披露される曲を大声で熱唱したり、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)を見て大笑いすることで、カロリー消費をするという荒技を紹介しています。こんなことを言ってはなんですが、タピオカやスターバックスのフラペチーノなど、JKが大好きな高カロリードリンクを1杯飲んだだけで相殺されそうな、地味なダイエット効果……。正直、ムダな努力のように感じました。

 また、「食べ方の掟11」は、高カロリーな食事を摂る際の心得を掲示しています。「フライドチキンは脂肪の少ない胸肉。皮は最後に食べるべし」「鍋は野菜→メインの順に食べるべし」「おせちは野菜ものから食べるべし」「グラタンは最初にサラダを食べるべし。タバスコをかけるべし」など、いろいろな料理を例に挙げているものの、要は「食べる順番に気を付けろ」と言いたいのでしょう。体形を気にしていても、残さずきちんと食べる姿勢は見習うべきポイントなのかもしれませんが、「フライドチキンの皮」や「鍋のシメ」は残しても問題ないように思えますし、そもそも食べる順番を変えたところで摂取カロリー自体に変化はないはず。「生活の掟15」と「食べ方の掟11」を意識したところで、“お太り様”から回避するのは到底無理そうです。「常に健康に気を使っている自分、意識高い!」と実感する程度なら試してみる価値があるかもしれません。

 年末も恋と美容で頭がいっぱいのSTでしたが、年が明ければ2月14日のバレンタインに向け、何か動き出しそうな予感です。ファッションやメイクなど、男子目線を意識した企画が多い印象ではあるものの、来年以降は自分自身が“好き”“楽しい”という基準でオシャレを楽しんでほしいなと感じてやみません。

藤本なつき(ライター)

藤本なつき(ライター)

女性ファッション誌ウォッチャー。年代ジャンル問わず、女性誌をチェック。現在は、サイゾーウーマンで「Seventeen」(集英社)レビューを担当中。

最終更新:2019/12/27 13:31
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