ジャニーズの俳優情勢2019

ジャニーズの俳優情勢2019――木村拓哉の圧倒的「面白さ」、ジャニーズWEST・重岡への「期待」

2019/12/30 16:00
成馬零一

新鋭として期待できるジャニーズは不在

 とは言え、ジャニーズ事務所で一番面白いのが木村というのは、やはり寂しいものがある。その意味で後進に期待したいのだが、どうにも新味がない。

 例えば風間俊介は倉本聰脚本の『やすらぎの刻~道~』(テレビ朝日系)で、生田斗真は『俺の話は長い』(日本テレビ系)で主演を務め、俳優としてV6 ・岡田准一、TOKIO・長瀬智也、山下智久に続く人気を獲得しているが、すでに彼らもベテランの域に達しつつあり、若々しさに欠ける。

 そんな中、あえて新鋭として期待できるのは『これは経費で落ちません!』(NHK)で誠実な営業マン・山田太陽を演じたジャニーズWESTの重岡大毅だが、彼自身、2016年の映画『溺れるナイフ』、18年のNetflixドラマ『宇宙を駆けるよだか』ですでに鮮烈な印象を残しており、新鋭とは言い難い。

 本来ならここで、これからのジャニーズを背負うニューカマーとしてKing&Princeの平野紫耀の名前を挙げることができれば、話の座りはいいのだろうが、今年の主演は映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』だけで、今作が彼の魅力を存分に表していたかというと評価は難しい。個人的には、平野はキラキラの王子様ではなく、かつてKinKi Kids・堂本剛が演じていたようなナイーブな青年の方がハマるのではないかと思う。

 今のジャニーズに必要なのはLDHにおける『HiGH&LOW』や『PRINCE OF LEGEND』のような自社の若手俳優を生かすための大型コンテンツではないだろうか。KinKi Kids・堂本光一主演のミュージカル『Endless SHOCK』シリーズがコアなジャニーズファンの間で、その役割を果たしているのかもしれないが、もっと開かれた場所、例えば深夜ドラマやNetflixで展開できれば、若手をめぐる状況は一気に覆るはずだ。

 平野たち若手が、LDHや2.5次元アイドルにどう立ち向かうかが、今後、問われるのではないかと思う。
(成馬零一)

最終更新:2019/12/30 16:00
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