“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験のお試し校に不合格! 「私の費やした時間、お金……」母がぶつけた“言ってはいけない言葉”

2019/12/29 19:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

息子に「ごめん」……その時、家の電話が鳴った!

 中学受験は長い時間をかけて本番に挑むことが普通なので、まだ幼い小学生に多くの犠牲を強いる面もある。たとえ、勉強に身が入らない、あるいは本気度が見られないという子であったとしても、本心では誰しもが合格したいし、不合格の烙印を押されれば、自分自身を全否定されるような衝撃を覚えるものなのだ。

 浩平君は丸1日たって部屋から出てきたそうだが、真奈美さんに「もう、受験はしない。受けてもどうせ受からない」とだけ言ったそうだ。

「私が最悪のタイミングで、最悪の言葉を口にしてしまった。浩平を本当に傷付けてしまったんだなって思いました……。もう、ダメだなぁと、一時は不戦敗を覚悟しました」

 その後、真奈美さんは、浩平君に対し、「ママは本当にひどい言葉を言ったと思う。ごめん、浩平。でも、本心じゃない。本当の浩平は一度や二度の失敗でダメになる子じゃないとママは思っている。でも、もう受験はしないというのなら仕方ない。それが、浩平の出した結論ならば、ママは尊重するよ。浩平の人生なんだから、浩平が決めなさい」と謝罪したという。

 ところがその時、自宅の電話が鳴ったそうだ。電話の声は、不合格だった1月受験校の先生からだった。

「繰り上げ合格をお知らせします」

 真奈美さんは受話器に向かって、泣きながら「(浩平の頑張りを認めてくださって)ありがとうございます」とお礼を言い、電話を切った後、親子で抱き合って、泣いたという。

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