「元極妻」芳子姐さんのつぶやき69

「2019年のヤクザ業界」年末年始は? 大物出所に幹部射殺、電撃引退…… 元極妻が振り返る!

2019/12/22 16:00
待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

事始め式は滞りなく行われた

 12月13日の事始め式は、いずれの組織も大きなトラブルはなく、滞りなく行われたようです。神戸山口組は、大物幹部である太田興業・太田守正組長の事始め式当日の「引退宣言」が話題ですが、これは「幹部間の意見対立説」と「偽装引退説」があるので、今後も注目です。

また、最近は大きな事件がなかった任侠山口組も、奈良で内輪の会合を開いていたことが報道されました。ただ、17日には関連組織の事務所が神戸地裁から使用差し止めの仮処分命令を受けていますね。

 ヤクザ社会では、事始め式は一門が顔をそろえる重要なイベントだったのですが、最近は来年度の方針の発表など業務連絡だけでジミに終わっています。12月13日よりも前に年内最後の納会を開く組織も目立ち、時代とはいえ寂しい気もしますね。

10月の六代目山口組若頭の出所から「激変」

 それにしても今年は、六代目山口組と神戸山口組をめぐる事件が多かったですね。特に10月の六代目山口組の高山清司若頭の出所の少し前から、銃撃を含め、多くの事件が起こりました。「週刊実話」(日本ジャーナル出版)は「血に染まった令和元年」と評していました。むしろ前半は、国内のヤクザは全体的に「自粛傾向」だったのですが、そんなことみんな忘れてますよね。私もですけど。

 6月の大阪でのG20サミット(主要20カ国・地域首脳会議)や 2020年のオリパラに向けて、事務所に詰めたり、銃器使用の自粛を呼びかけたりしていたのです。とはいえ、いろいろと動きもありました。

 1月には任侠山口組関係者の車に六代目山口組の関係者が乗用車に発砲して逮捕されていますし、3月には、横浜で六代目山口組と稲川会のケンカがあって、六代目側の関係者が刺殺されました。また、8月には、六代目山口組系の事務所で関係者が銃撃されています。この件で、12月に神戸山口組幹部の五代目山健組・中田浩司組長が逮捕されましたね。

 そういえば9月には名古屋市内の路上で「元ヤクザ」のケンカがあり、1人が殺害されました。その一部始終を撮った動画がネットで拡散されて問題になりましたが、これは抗争とは無関係のようです。そして、10月18日に若頭が出所する1週間ほど前の10日には神戸山口組の中核組織・山健組の組事務所前での射殺事件が起こります。若頭の出所には無関係ではないと思いますし、その後はどんどん事件が続いていきます。

 11月18日には、熊本で六代目山口組関係者が神戸山口組関係者を刺傷し、翌日は北海道で六代目山口組関係者による神戸山口組関係者宅の車両特攻事件が起こっています。いずれも出所した若頭が関係団体トップを「激励」した直後だといわれています。激励といっても言葉だけではないでしょうしね。

 そして、11月27日には、六代目山口組関係者によって神戸山口組幹部の三代目古川組・古川恵一総裁が射殺されてしまいました。街中でのマシンガン発射ですから、両組織の「特定抗争指定暴力団」指定の作業が急がれることとなりました。また、銃規制の強化などにも影響するといわれています。

 この後は比較的静かに事始めも終わり、年内は何もないかなと思っていたら、12月16日には、大阪で神戸山口組関係者が六代目山口組関係者を包丁で襲撃する事件がありましたね。「今度はマシンガンでなくてよかった」と大阪在住のオットの元兄弟分は苦笑していましたが、そんな問題ではないです。

 お正月はおそらく何もないとみられていますから、次の動きは1月7日以降でしょうか。とはいえ大みそかなんかにお休みで誰もいない事務所に車両特攻などはあるかもしれませんね。まだまだ気は抜けません。

待田芳子(作家)

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2019/12/22 16:00
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