国内店舗数「ユニクロ」超え!

ワークマン、作業着チェーン店が躍進したワケーー「イージス」「靴」「パーカー」専門家を唸らせる3商品とは?

2019/12/22 18:00
南充浩
ワークマン公式サイトより

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 大量閉店や大量リストラ、老舗企業の経営破綻など暗いニュースが多い現在の衣料品業界において、「ワークマン」の躍進は数少ない明るい話題の1つです。ワーキングユニフォーム専門のチェーン店だったワークマンが一躍注目を浴びたきっかけは、数年前に透湿防水ジャケット「イージス」がSNS上で話題となったことにありました。

 低価格である上に、しっかりとした防水透湿機能が備わっていて、さらにデザインもワーキングユニフォームっぽくないことからデイリーカジュアルとしても使えるため、急速に支持者が増えました。

 この「イージス」を始まりとして、ワークマンの商品は全てが「低価格高機能」であることが世間に浸透し、一躍人気店になったのです。

 ワークマンは、どうして低価格高機能商品を揃え続けられているのでしょうか。それはずばり「ワーキングユニフォーム販売店」だから。作業着やワーキングユニフォームを着用する肉体労働者は、夏は暑く、冬は寒い中で作業をしなくてはなりません。また風の強い日や雨の降る日にも外で働かなければいけないのです。こうした過酷な自然環境下でも、肉体を傷めず、疲労を蓄積させないために、作業着やワーキングユニフォームには高機能性が求められます。また、オシャレ着ではなく仕事着なので、最初に“一式揃える”ことが必須となり、また作業によって必ず傷むため買い替えの必要もある……そうなると、“安さ”も重要視されるのです。

 この“安さ”について、消費者目線でもう少し言及すると、例えば、自分の趣味で購入を決めるオシャレ着であれば、「3万円のジーンズ」でも「30万円のコート」でも、気に入れば高額品であっても手に取ると思います。しかし、作業着や制服、仕事着に、そこまで出しても構わないと考える人はほとんどいません。ましてや必ず買い替えが生じますから、「安くなくては困る」と言っても過言ではないでしょう。そのため、何もワークマンに限らず、ワーキングユニフォーム業界全体が、何十年も前から「低価格高機能商品」を企画生産し続けてきたわけです。しかし、長らく一般的に話題とならなかったのは、デザインが作業着然としていたから。いくら安くて機能性が高くても、デイリーカジュアルとして着用するには無理がありました。

 それが近年、ワーキング各社の商品のデザイン性がマシになってきたのです。完全にとは言いませんが、デイリーカジュアルブランドと遜色のない商品が増えました。その中で、ワークマンが最も注目されたのは、全国800店舗以上の店舗数(大部分はフランチャイズ店ですが)があり、各地方で認知度が高かったこと、以前から歌手の吉幾三さんを起用したり、近年では有名ダンサーが作業着でブレイクダンスを披露するといったテレビCMを積極的に流し、販促に力を入れていたことが大きな理由だと考えられます。

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