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ボーナスでうっかり高い買い物をしがちな人に知っておいてほしいこと

2019/12/12 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 年末年始は1年のうちでもっとも買い物熱が盛り上がる時期と言われます。その昔、正月には下着や日用品を新調するものだとか、年賀客のためにご馳走を揃えるとか、年末にあれこれ買い出しをする必要がありましたが、ずいぶん事情が変わった今でも日本人のDNAには「この時期はお買い物」という指令が組み込まれているのかもしれません。

 おまけに各種のバーゲンセールも待ち構えているのだから、財布のひもがつい緩むのは仕方がないこと。こうした消費熱が盛り上がる時期に意識しておきたいのが、「参照点」という言葉です。私たちの損得の判断に大きく影響するのが、それだからです。

 たとえば、クリスマスプレゼントにアクセサリーがほしいと思って、ジュエリーショップを覗いたとします。ショーウインドウには18万円と20万円のリングがキラキラ。うわ、さすがに高くて手が出ないな……と思いながら店内に入ってみると、中のショーケースにはもっと手ごろな5万円や8万円のリングが。「なんだ、安いのもあるんだ。これなら買えそう」とその気になって、そのうちの5万円のほうを買うことに……。

 この場合、5万円のリングは本当に安かったのでしょうか。もし最初から5万円の値札を見たら、「わ、高いわ。予算オーバー」と感じたかもしれません。しかし、最初に20万円の値札を見てしまうと、それが基準の値=参照点になるので、「20万円よりも破格に安い!」と感じてしまう。そのために、あえて高額な商品を飾っているというのが種明かしです。

 もっと身近なところでこの参照点を利用しているのが、「50%オフ」という値引き手法です。この品物がいくらであるのかよりも、いかに大きく値引きしているかのほうを強くアピールするのです。というのは、私たちは基準となる価格から、いくら変化したのかで金額の損得を判断しがちだから。大きく記された値引き率のほうに心惑わされてしまうというわけですね。

 また、年末ジャンボ宝くじを買った人・買う予定の人も多いでしょう。10億円の夢を抱いて買ったものの、残念ながら末等の300円しか当たらなかったなら、あなたはそれを換金に行くでしょうか。宝くじ公式サイトによれば、支払期限切れとなる宝くじの「時効当せん金」は平成29年度分で149億円もあったそうです。そのうちの約8割が100円、200円、300円といった末等だったとか。

 たかが300円と思うなかれで、コンビニで毎朝ドリップコーヒーを買っている人なら、3日分にもなる金額。なのに引き換えに行かないのは、「億とは言わないけど100万円は当たりますように」や「連番とバラで6000円使った」という数字が参照点になっているからではないでしょうか。当選金100万円から見た300円、使ったお金の6000円から見た300円は、私たちの頭の中ではコーヒー3杯分以下の価値に変わっているのです。

お金の価値は実はあいまいなもの
 このように、お金の価値とは絶対不動なものではなく、人の感覚によって揺れ動くあいまいなものなのです。しかも、単位が大きくなればなるほど、よりざっくりになってきます。

 たとえば、マイホームを買うための予算を3800万円と決めたとします。

 この場合は、お金の単位が100万円刻みになり、その範囲で上下したりします。3800万円の物件と3900万円の物件は金額の差はさほどないように思えるし、たとえ4000万円でも予算をそれほど上げたという感覚はないかもしれません。でも実際には違いますよね。最初の予算より200万円も上がっているのですから、相当な差のはずです。よく、物件を見に行くときは予算よりも上の価格の物件を見てはいけないと言われますが、それはこういうことなのでしょう。

 さらに、もっとやってはいけないのは、その金額イメージを残したまま家具などを見に行くこと。数千万円という数字のあとでは、数十万円の家具は実に手ごろに感じるもの。予想外に高額な買い物をしないために、頭に残った価格基準をリセットしてから改めて出直したほうがいいでしょう。

 マイホームほど高い買い物ではないとしても、普段あまり行かないような高級ブランド店で品物を見た後では、確実にその後にする買い物の価格基準が上がってしまうもの。要注意です。

あいまいだからこそ、絶対的な「自分の物差し」が大事
  ボーナスを懐に正月に向けてのショッピングに行くなら、こうした「うっかり高値掴み」にならないよう対策を取りましょう。

  普段なら買わないような高額なものがお得に見えて欲しくなってしまった時は、いったんリセットの時間を取る。まったく別の買い物をするのもいいでしょう。値引き率に惹かれてバッグを買おうか迷っている時は、あえて食品売り場で並んでいる野菜の価格を見る。そうすることで金銭感覚が日常に戻り、参照点の幻想から抜け出せるでしょう。

 また、買うべきかどうかの判断をするために、その価格を相対的なものではなく絶対的な数値に置き換えてくれる物差しアイテムを決めておくのも方法です。

 先ほど例に出したコンビニコーヒーでもいいのですが、フェイシャルエステの一回分、好きなアイドルのコンサートのチケット代など、自分の楽しみや趣味のものを物差しにすれば、より効果的。それを基準に計算すれば、「本当に払っていい金額なのか、この金額は安いといっていいのか」を、もっと客観的に判断できるのではないでしょうか。

 多分、多くの人はすでに「自分の適正価格」を持っているはずです。ワンピースならいくらまで出してもいい、靴なら、バッグなら――と、想定している価格帯は決まっているもの。その価格帯からかなり外れたものを買って、その時点での満足度は高かったとしても、「汚したらどうしよう」「高かったのだから気をつけて扱おう」との気持ちが生まれ、気楽に使えないかもしれません。

 お金の価値はあいまいで、単位も伸び縮みするもの。だからこそ損得を決める自分自身は絶対的な物差しを持ち、それを使って冷静に判断することが、買物で失敗しないシンプルな方法だと思います。

最終更新:2019/12/12 20:00
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