高橋ユキ【悪女の履歴書】

【池袋・買春男性死亡事件:後編】男の性欲は「ジョークでかわせ」「真に受けた女が悪い」30年前の報道から現在へ

 1987年4月15日、東京・東池袋にあるビジネスホテルTの客室内で、大手通信会社社員・谷口智明さん(28・当時・仮名)が、電話で呼び出したホテトル嬢・大鳥清美(22・当時・仮名)にナイフで刺されて死亡した。密室で起こった惨劇の一部始終は、ベッドにセットされた8ミリビデオカメラに録画されていた。

前編はこちら:2時間6万円で買われた“ホテトル嬢”が客を殺めるまで

ホテトル嬢が強要された屈辱的な行為

 6月24日に開かれた第2回公判。この日、検察側証拠として谷口さんが撮影していたビデオカメラが上映された。「公序良俗に反する」として傍聴人を法廷から出しての上映となったが、締め出された傍聴人らが耳をそばだてると、ビデオの音声が聞こえてくる。清美の声だ。

「あはっ、ウフン、アァ……」

 恐怖からくる悲鳴か、快感の演技か、それとも愉悦の叫びか。

「いいか、今から俺が言う通りにしゃべるんだ。『私は男の公衆便所です。やりたくなったら来てください』『もう絶頂感に達しました。いつでも来てください』だ」

 命じられるままに屈辱的なセリフを復唱させられる清美。だが快感に悶えるふりをしながら体をくねらせていると、徐々に手足を縛っていた帯が緩んできた。ふと目をやると、ベッドの上に先ほど親指を刺されたナイフが転がっている。身をよじらせながらナイフを体の近くに引き寄せていった。バイブレーターで清美の性器を弄ぶことに夢中になっている谷口さんの隙をうかがいながら、左手でそっとナイフを握り、谷口さんの右脇腹を刺した。

「うぁぁっ!……てめえ、この野郎、何をしやがるんだ!」

 のちに清美はこの時の心情を「腹を刺してうずくまった隙に逃げようと思った」と語っている。ところが谷口さんはうずくまりもせず、清美を逃すまいとドアのそばに回り込み、突っかかってきた。

 髪をつかみ、頭を壁に打ち付ける。清美は胸を刺したが、谷口さんはそれでも首を絞め付けてくる。“ナイフを奪われたら今度は自分が刺される番だ”……無我夢中でナイフを左右に振り続けた。しばらくすると谷口さんは、

「てめぇ、殺人犯にしてやるぞ……」

 こううめき、失神した。ビデオの音声は清美の叫び声が続く。

「ねえ、起きなさいよ!」
「助けて、早く、助けてよ! 救急車よっ。いやあっ、死んじゃう、死んじゃうよ!」

 午後8時。ホテル従業員が駆けつけた時、谷口さんはすでに死んでおり、清美も大腿部に深い傷を負っていた。

匿名の彼女たち(5)
30年前より少しはマシになったと思いたいけどムリだった

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