高橋ユキ【悪女の履歴書】

【池袋・買春男性死亡事件:前編】2時間6万円で買われた“ホテトル嬢”が客を殺めるまで

世間を戦慄させた事件の犯人は女だった――。平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。自己愛、欲望、嫉妬、劣等感――罪に飲み込まれた闇をあぶり出す。

第7回:池袋・買春男性死亡事件

acworksさんによる写真ACからの写真

 池袋駅東側にそびえるサンシャイン60を擁するサンシャインシティ。そこに続く「サンシャイン60階通り」(当時)に面したホテルに女が呼び出されたのは水曜日、午後6時ごろのことだった。彼女は母親に「モデルの仕事を始めた」と言っていたが、ホテトル嬢として生計を立てていた。ロビーで待っていた男は、女を見てうれしそうに呟く。

「若くて綺麗な人が来てくれてよかった」

 男はあらかじめチェックインしていた723号室へ女と共に入った。

「優しそうな人」

 一方の女も、そんな第一印象を抱いていた。ところが2時間後、女の電話で部屋に駆けつけたホテル従業員が目にしたのは、血まみれで倒れている全裸の男と、同じく全裸で血まみれになりながら泣き叫ぶ女の姿だった。

 密室で何が起こったのか。男が回していたビデオカメラが、一部始終を見ていた。

ビジネスホテルに呼ばれたホテトル嬢

 1987年4月15日、東京・東池袋にあるビジネスホテルTの客室内で、大手通信会社社員・谷口智明さん(28・当時・仮名)が、電話で呼び出したホテトル嬢・大鳥清美(22・当時・仮名)にナイフで刺されて死亡した。

 ホテトルとは公衆電話に貼られた小さなピンクビラで客を取る派遣型性風俗のひとつ。風営法の許可や届け出がなく、本番行為も横行していた。実家からほど近い台東区のマンションで中学時代の同級生と同棲していた清美がホテトル嬢として働き始めたのは、事件の1年前からだったという。

 地元の小中学校を卒業した清美は、高校に進学したが、2年の頃に中退した。ホテトル嬢として働く前は、喫茶店のウエイトレスや両親が営むラーメン店の店員として働いていた。ところが父親が家出し、母親と妹との3人家族となる。

 「モデルになった」と母親に嘘をつき、ホテトル嬢を始めた清美は、その3カ月後に実家を出て同棲を始めた。実家近くの商店主はこう語る。

「お母さんは病弱だし、同棲相手は稼ぎが良くなかったと聞いてる。自分が売春して支えるつもりだったんじゃないのかな」

 とはいえ、ホテトル嬢という仕事は危険と隣り合わせでもあった。当時の風俗ライターは「最近は年に1人くらいの割合でホテトル嬢が殺されているんです。山中にまで連れ去られたり、数人の男たちに輪姦されたりというトラブルも出ている危険な稼業なんです」と解説している。

風俗嬢という生き方 (光文社知恵の森文庫)/中塩智恵子/著
恐怖心を想像するだけで心臓が凍る

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