早坂信哉氏インタビュー

サウナブームに専門医が警鐘! 「整う」より正しい入浴法の基礎とは!?  

2019/11/20 21:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

サウナの水風呂で「ヒートショック」……脳卒中、不整脈の発症も

――そのほかに、危険な入浴方法などはあるのでしょうか。

早坂 水風呂の入り方には注意してほしいです。熱いサウナから10度前後の冷水にいきなり浸かると、急激な温度差によって体調不良を起こす「ヒートショック」を自ら発生させるような状況になります。血圧が大きく変動することで、脳卒中や不整脈、狭心症を発症し、最悪の場合死亡することも。意識を失い、水風呂の中で溺死するといった事故もあるので、十分注意してください。

――サウナの醍醐味は「水風呂」というような声もあるのですが、どうしても水風呂に入浴したい場合、注意すべきポイントなどがあったら教えてください。

早坂 冷たすぎる水風呂は避け、“25~30度”ぐらいの「ちょっと冷たいな」と思うぐらいのぬるま湯の風呂に、“ドボン”と浸かるのではなく、手足に少しずつ水をかけ、静かに少しずつ体を慣れさせながら入浴してほしいです。水風呂より刺激が少なく安全なシャワーや外気浴などの方が、体のことを考えるとオススメですね。

――最近はスーパー銭湯など、食事もできる複合型温泉施設などもあります。食事の前後にサウナに入浴するのはどうなんですか。

早坂 できれば食事の前後30分~1時間程度は避けた方がいいです。というのも、皮膚の表面が温められると、全身の血液が皮膚の近くに集まり、消化器官の血液が少なくなります。その結果、消化不良を招く可能性も。また、熱や急な体の痛みが出始めている時、腰痛など慢性的な痛みがひどくなり始めている時なんかもやめた方がいいです。サウナは刺激が強いですし、疲れすぎている時に入浴することによって、逆に体調を崩すことも考えられます。

――サウナに入浴する際、女性が特に注意するべきポイントなどお聞かせください。

早坂 体調については男女ともに、熱中症やヒートショックなどのリスクに差はありません。ただ、美容という点では、注意が必要でしょう。ドライサウナや遠赤外線サウナなどは、湿度が低くとても乾燥しているので、毛髪の乾燥を防ぐために濡れタオルやサウナハットを着用した方がいいかもしれません。霧状のミストが出るミストサウナは乾燥を防げますし、通常のサウナよりも体への負担も少ないので、乾燥が気になる方はこちらの方がいいのではないでしょうか。

サウナで「整う」よりも無理をしない

――“サウナー”と呼ばれるサウナ愛好家の方たちは、サウナと水風呂の入浴を1セットとして、何セットも繰り返すことによって「整う」といった感覚を楽しんでいますよね。

早坂 「あと〇分……」などの我慢大会のような入浴方法は危険ですし、やめてほしいです。汗が流れ出たということは、体温が1.5度ぐらい上昇し、血流が良くなってきた証拠なので、自分にノルマを課していたとしても、ひとまず出るようにしましょう。あくまでも目安ですが、80度のサウナであればどんなに長くても10分まで、100度なら5~6分まで、初心者の方は60度ぐらいの低温のサウナにせいぜい15分ぐらいまでに抑え、自分の体調と相談し、とにかく無理をしないでください。汗をかけばかくほど毒素が出るというわけではないですし、正しい入浴方法で血行促進やリフレッシュに役立ててほしいです。

早坂信哉(はやさか・しんや)
東京都市大学人間科学部教授、一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長、温泉療法専門医、博士(医学)。著書に『最高の入浴法~お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案』(大和書房)、『入浴検定公式テキスト』(日本入浴協会)がある。

最終更新:2019/11/20 21:00
最高の入浴法/早坂信哉
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