【連載】彼女が婚外恋愛に走った理由

夫に「12年間の不倫」がバレた40代妻――慰謝料請求に「ムカつく」と怒りにじませるワケ

2019/11/15 16:30
いしいのりえ
(C)いしいのりえ

 家庭を持っている女性が、家庭の外で恋愛を楽しむ――いわゆる“婚外恋愛”。その渦中にいる女性たちは、なぜか絶対に“不倫”という言葉を使わない。どちらの呼び名にも大差はない。パートナーがいるのにほかの男とセックスする、それを仰々しく “婚外恋愛”と言わなくても、別に“不倫”でいいんじゃない? しかしそこには、相手との間柄をどうしても“恋愛”だと思いたい、彼女たちの強い願望があるのだろう。
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 一度婚外恋愛にはまってしまった人は5年、10年、気がつくと20年目前……と、なかなか離れられない人が多いという。

「婚外恋愛」そのものの旨味を知り、相手を変えて、恋愛から離れない人もいる一方、相手とのウマが合うために、長年離れることができない人もいるということだが、筆者がこれまでに取材してきた女性の多くが後者であった。互いに家庭を持ちながらも、30代から40代へと年代をまたいで交際し、デートやセックスがなくなってしまってからも、時間を見つけてはお茶をし、互いのパートナーの愚痴を言い合うような「異性の友達」化してしまうカップルも少なくない。

「12年の付き合いになる彼は、本当にかけがえない人ですよ……大学時代の男友達ってそんな感じじゃなかったですか? だからうちの夫にはホント頭に来てるんですよね……」

 現在、40代の里香さん(仮名)は心底うんざりした顔で言った。

私と彼の共通の話題は「子ども」

 里香さんの家庭はいわゆるDINKSだ。子どもはおらず、互いに仕事を持ち、共働きで生活を楽しんでいた。

「夫とは同じ会社に勤めていましたけど、結婚を機に私が退職しました。手に職を持っているので、まあなんとかなるかと思いましたし。30代前半の頃に退職して、次の会社で働き始めてからもう10年近くたちました。今はリモートで働いているので、家事との両立も楽ですよ……通勤の時間も取られないし、化粧する時間も省けて、パソコンの前に向かったらパジャマで仕事始められますからね。それに、彼と会う時間も取りやすくなりましたし」

 里香さんはサラリと、自身の身の上について話してくれた。

 里香さんが「彼」と知り合ったのは、今から12年前。取引先の人で、里香さんとはたまたま同じ大学だったという。

「大学時代は知り合いではなかったんですけど、同じ大学出身って盛り上がりません? タイプも似てるっていうか……それで、なんとなくそういう関係になっちゃって」

 里香さんも彼もアラサー世代の頃であった。以来、2人は仕事以外でも時間を見つけてホテルで密会する仲になる。

「とにかく話が合ったんですよ。彼は、妊活してキリキリしている嫁の愚痴を言いたくて、私は私で、夫が理解してくれない会社の愚痴を吐き出したかった」

 2人に共通していた話題は「子ども」だ。里香さんの彼は、「なぜ妻は不妊治療してまで子どもを欲しがるのか」と不満を抱いており、一方の里香さんは、子持ちの同僚に苛立ちを覚えていた。

「同僚の女性たちは、結婚と妊娠を経てバタバタと産休や育休に入り、彼女たちが残した仕事を私が担当するようになったんです。それだけでも、『なんで?』と思っていたのに、彼女たちは育休が明けても、仕事を残して、夕方にはそそくさと帰ってしまう……」

そんな同僚を疎ましく思っていた里香さんは、過去の病気により、子どもが授からない体であった。

「そういう愚痴を、夫は受け入れてくれないんですよね……『会社が定めた制度だから仕方ないでしょ』って言うだけ。そりゃそうだけど、仕事中も子どもの話をして手を止めて、さっさと夕方に帰っちゃう同僚の仕事を埋めてるのは、私なんだよって。それでも我慢して今の会社にいてよかったです。給料がいいし、リモート勤務を許可してもらえたので、同僚の子どもトークも聞かなくて済むようになりましたし」

 里香さんの婚外恋愛はストレス発散のはけ口だったのだろうか。

「たまたまですよね。たぶん、共感してくれる相手が欲しかったんだと思いますよ。同僚はもちろん、夫ですら首を傾げる私の愚痴を、彼は『うんうん』『わかるよ』って聞いてくれましたから。セックスはオプションです。裸の付き合いっていうのかな、服脱いだ方が本音で語れるじゃないですか」

婚外恋愛
このケースでの慰謝料っておいくら万円なのかしら……
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