【連載】突撃!ズバリ教えて隊

東京五輪「マラソン・競歩」開催地の札幌、夏は本当に涼しいんですか?

2019/11/09 17:00
有山千春

 「わざわざ調べるほどじゃないけど、なんか気になる」「知らなくても損しないけど、どうせなら覚えておきたい」……日常にあふれる“素朴なギモン”、ズバッと聞いてきました!

 2020年7月24日~8月9日に開催される、東京オリンピック。競技の一つである「マラソン」「競歩」の開催地について、国際オリンピック委員会(IOC)は10月16日、突然「マラソンと競歩の会場を札幌に移すことを計画している」と言いだし、日本中が混乱している。

 変更が検討された背景には、今年9月27日にカタール・ドーハで行われた『第17回 世界陸上競技選手権大会』の女子マラソンで、深夜スタートにもかかわらず、気温32.7度・湿度73.3%という過酷なコンディションの中、出場選手の4割超が“棄権”する事態に発展したことが挙げられる。今年も猛暑が続いた東京で同じことをやったら、この悲劇が繰り返されると考えたのだろう。エライ人たちがいろいろと揉めたようだが、結局、11月1日に札幌開催が正式に発表された。

 「7・8月の東京、絶対暑いでしょ!」という主張はその通りなのだが、「北海道なら、涼しいんじゃね?」となるのは、ちょっと単純すぎやしないだろうか。今年7月24日~8月9日の札幌市の気温を見ると、最高気温はもっとも低くて25度、もっとも高くて34.2度あり、30度超えの“真夏日”は8日もある。いや、なんか普通に暑そうなんですけど。

 そこで、札幌を中心に活動し、今年8月25日に開催された『北海道マラソン2019』にも参加した、「札幌ランニングチーム side-B」の代表・下山貴弘さんに話を聞いた。

「7月末から8月頭の札幌って、実際暑くないですか?」

下山さん 7月~8月の頭は、札幌も1年で一番暑いときなので、あまり外では走らないという方が多いです。特に最近は湿度も高く、ムシムシしていると感じますよ。『北海道マラソン2019』の練習として、屋外で走りましたが、個人的には決して走りやすい気候ではないと思います。

 や、やっぱりそうなのか……。数字のデータ以上に、現地の声には説得力がある。さらに聞けば、このランニングチームには「東京から毎年『北海道マラソン』に参加している」「東京から転勤して札幌に住んでいる」といったメンバーがいるそう。

――その方々は、「夏の札幌は走りやすい」という印象を持っているのでしょうか?

下山さん 彼らいわく、「真夏の東京で日中に走るのは、命の危険を感じる」そうです。 日の出とともに猛烈な暑さになるので、東京オリンピック期間に外を走るのは、ほとんど無理でしょう。「それに比べれば、札幌の暑さは“ただ暑い”だけ」と言っていました(笑)。

 なるほど、IOCの判断も大間違いではなかったと言えるが、それにしたって「東京に比べればマシ」なだけで、札幌も決して走りやすい気候ではなさそうだ。

 ランナーの方にちょっと話を聞けば、「札幌なら涼しいでしょ!」という考えに至らないはずだが、IOCは彼らになんの相談もしなかったのだろうか? いや、こんなにも大きな組織が、独断と偏見で開催場所をコロコロ変えるはずはあるまい! そこでさらに、IOCのトーマス・バッハ会長が「(マラソンコースの)発着点とする意向を示している」とされた、札幌ドームにも話を聞いてみた。

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