【連載】傍聴席から眺める“人生ドラマ”

“ハプニングバー”好き有名人と不倫――「紅白歌手・Xに会える」と信じたアラフォー女の「ストーカー裁判」

2019/11/10 18:00
オカヂマカオリ

突然“ストーカー”扱いを始めた「彼」

 そこはかとない“クズ男”感が漂う「彼」ですが、ここまでされても「優しい」と評するA美。どっぷりと“2人だけの世界”に浸かっているようでした。しかし、関係が悪化したことにより、A美は「彼」に“ストーカー”として扱われることに……。

 令和元年5月31日、待ち合わせていたパチスロ店に「彼」が来ない。A美は怒りのメールを送り、「彼」のマンション近くにある「日高屋」で朝まで待つも、返信はナシ。怒りのあまり、以前プレゼントされた白い腕時計を、「彼」の自宅ポストに投げ入れて帰る。6月1日、「彼」は酔いつぶれて昼まで寝ていたとわかり、仲直り。

 6月3日、「彼」が「見たこともないぐらいの暗い顔をしていたので」A美が理由を聞いたところ、「6月1日から妻に口を聞いてもらえない」とのこと。このあたりから、「彼」がよそよそしくなったとA美。メールの“ハート”が減ったどころか、返信そのものが激減したそう。

 6月10日、まもなく行われるXのライブに備え、オールで“一人カラオケ”をしていたが、A美は彼との関係が不安になってマンションの前まで行ってしまう。連絡をしたところ、「彼」からは「帰ってください」という返信が。ショックのあまり、今度は「富士そば」で返信を待っていたら、「彼」から「怖くてもう2人では会えません。警察を呼びますよ」とメールが届く。

 「警察」というワードにさらなるショックを受けたA美は、「『彼』に騙されていた?」と思い至る。ハプニングバーでの痴態など、今まで受けた辱めがよみがえり、A美は「消えたい」という思いにとらわれる。いったん帰宅して数珠と睡眠薬を持ち、再びカラオケの個室にこもって遺書を書いたA美。そして、タクシーで「彼」のマンションへ向かったところ、エントランスで待っていた警官に身柄を確保、勾留された。A美いわく、「別れるなら会って話し合いたいと思っただけ」だったそう。

有名人だから「“お咎め”なし」なのか

 A美は証言台で、「別れ話の代わりに警察に突き出して逃げるのは、有名人だから? 守られて何のお咎めもない」「ペナルティが不釣り合いでは?」と主張していました。この10年間、「彼」が“有名人”であることを配慮して事を公にすることはなかったし、「彼」が街なかで囲まれた時には「違いますよ!」と言って、ファンから守ったこともあったというA美。確かに、傍聴している限りでは、「女性加害者のストーカー事件」というより、「恐妻家のクズ男がセフレ切りに失敗してヘタ打った事案」としか思えません。

 それに、A美の証言がすべて真実であるならば、そもそも「彼」は“レイプ犯”であり、裁かれるべき“被告”ではないでしょうか。「ペナルティが不釣り合いでは?」というA美の素直な疑問に対し、司法はどのような答えを出すのか。芸能ゴシップニュースとしてだけではなく、身近な問題の一つとして、よく考えねばならないと感じます。

 自ら通報したことで裁判になり、“ハプバー好き”が公文書に残されてしまった「彼」。裁判の中で正体が明かされることはありませんでしたが、近いうち、ビッグニュースが舞い込むかもしれませんね。
(オカヂマカオリ)

最終更新:2019/11/10 18:00
ストーカー
いろんな意味で「彼」の正体が気になる……
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