巷の「常識」だけど……?

ユニクロはジーユーより「高価格」「高品質」って本当? 冬用セーターで比較すると……

2019/09/28 18:30
南充浩
ユニクロ公式サイトより

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

ファーストリテイリングのブランド「ユニクロ」と「ジーユー」。どちらも一般的に低価格ではあるものの、2つを比較した場合、「ユニクロはジーユーより値段が高く、高品質」といったイメージを持たれているようです。しかし、果たしてこれは本当か聞かれると、そもそも「品質の高い/低い」を語ること自体が、非常に難しいと言えるでしょう。

家電やパソコンなど、機械類の「品質の高い/低い」は、一部に例外こそありますが、総じて、価格が高ければそれに比例して性能や耐久性が向上するのではないでしょうか。3万円と10万円のパソコンなら、圧倒的に10万円のパソコンが高品質だといえます。一方、衣料品の品質の高さとはなんでしょうか。これはケースバイケースで、その状況と用途に応じて変わるとしか答えられず、やっかいなことに、高額品が必ずしも高品質(耐久性や機能性が高い)とも言えないのです。ここが「高品質のものを買いたい」という消費者を惑わせる部分ではないかとも思います。

 例えば、織りでも編みでも、糸の密度を非常に高めた生地――いわゆる高密度生地は、糸がたくさん使われているため、単純に糸値だけ考えれば高額品ということになります。ちょっと極端な例え方をすると、同じ10本の糸を使って織った生地と、1万本の糸を使って織った生地だと、製造にかかった糸値は、後者の方が1000倍高いということになります。おわかりでしょうか。

 しかし、高密度な生地の商品だけが「高品質」かと言われると、それは違います。なぜなら服にはそれぞれ「用途」というものがあるから。例えば、シースルーっぽい夏用のジャケットを企画していたとします。このとき、高密度な生地を使用して「高品質」と言えるでしょうか。じゃあ、低密度のシースルー生地は安物で低品質かというと、これもそうとは限らないのです。通常のシースルー素材よりもさらに低密度の薄い生地ができた場合、その生地の製造が非常に難しいものであれば高級品、高品質品と呼ばれることになります。

 それから、一般的には、概して、細い糸で作られた柔らかくて光沢のある生地が「高品質」と呼ばれることもありますが、これまた違うのです。確かにそのような生地のTシャツは「高品質品」と認知される一方、8オンス(生地の厚さを表わす単位)以上の重くて分厚い生地のTシャツも、これもまた「高品質品」と言われます。これらを厳密に考えれば考えるほど、衣料品の高品質とは何なのかがますますわからなくなると言えるでしょう。

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