女のための有名人深読み週報

『おぎやはぎの「ブス」テレビ』に考える、「不美人」があざけられることのおかしさ

2019/09/19 21:00
仁科友里

「女性の容姿をジャッジする権利がある」と信じる人の存在

 なぜスポーツに関しては、優秀な人だけが称えられるのに、女性の美醜問題では、「逆オリンピック」が開催されるか。それは、ブスをあざける人が、自分のポジションをどう自覚しているのかの問題ではないだろうか。

 オリンピックに、「自分は出られる」もしくは「出る権利がある」と信じている人は稀だろう。オリンピックを見る際に、「自分にはできないことを、できるなんてすごい」という敬意を持ちながら見る人もいるはずだ。力関係を端的に表すと、「アスリート>自分」なのである。

 しかし、女性の美醜問題では「自分はいろいろ言っていい」「ジャッジする権利がある」と信じて疑わない人が多いのではないだろうか。

 世の中には、正当な理由から「女性の容姿をジャッジする権利がある」人というのは、存在する。例えば、女性アイドルオーディションの審査員はダメ出しする権利がある。また、Amazonプライムビデオで配信されている『バチェラー・ジャパン』のように、1人の男性を複数の女性が取り合っている場合も、バチェラーが「女性の容姿をジャッジする権利がある」状態に陥りやすい。

 「審査員>アイドル志望の女性」「バチェラー>女性参加者」という力関係に疑問を覚える人もいるだろうが、それでオーディションに合格したり、女性側がバチェラーに「選ばれる」ことにメリットがあると感じているのなら、win-winだろう。

 厄介なのは、「女性側にメリットもないのに、女性の容姿をジャッジする権利がある」と思い込んでいる人、つまり、「自分>女性」と信じて疑わない人ではないだろうか。自分が女性より立場が「上」と信じる人にとって、『「ブス」テレビ』のような「逆オリンピック」は、自分の気持ちを代弁してくれる気持ちよさ、弱い者いじめのような面白さがあるのだと思う。

 『「ブス」テレビ』は、「ブスはいくらで脱いじゃうのか?」で、さんざん「ブス」をコケにしたわけだが、バランスを取ろうと思ったのか、番組後半で「ブスだけどこの男はちょろかった!」いうテーマのコーナーを放送していた。「ブス」たちが簡単にヤれたオトコの特徴を話すという内容だ。アクティブにセックスを楽しむという「明るい面」を伝えているのだから、この番組は「ブス」を貶めていませんよ……そんなエクスキューズだったのかもしれないが、もしそうなら、それこそが「自分>女性」と信じる人たちの、典型的な発想ではないだろうか。というのも、この企画には、「ブスはモテないから、男にセックスしてもらえない」という制作側の思い込みを私は感じるのだ。しかし、セックスは「してもらう」ものではない。故にブスがセックスをすることは、不思議なことでも、すごいことでもないのである。

 『「ブス」テレビ』の公式HPには、「世の中『ブス』の方が多数派でしょ!」と書かれている。確かに、美貌でお金を稼げるレベルの女性以外を「ブス」とするなら、この言い分は正しい。しかし、決定的に欠けている視点がある。男性とてカオで商売できる人はほとんどいないわけだから、男女はイーブンなはずだ。にもかかわらず、女性だけをしつこく「ブス」と言うのは、「オトコは顔じゃないけれど、オンナは顔」という思い込みが存在するからで、美醜の問題ではなく、根っこにあるのは男女差別ではないだろうか。

 人が多数いれば、どうしても序列は生まれるので、ブスやブサイクと言われる男女が生まれてしまう。それ自体は「数学で赤点取った」「徒競走でビリだった」ことと同じで、特に深い意味はないだろう。しかし、ブサイクに比べ、ブスという特徴だけが、人格否定にも似た強さで、責められるのはどうしてなのだろう。表面的にブスの味方をするよりも、「なぜそんなにブスを責めるのか」を討論する番組を、Abema TVは作ってくれないだろうか。きっと「嫌いだから」の一言で終わってしまうと思うけど。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

最終更新:2019/09/19 21:00
おぎやはぎ/他/大人のコンソメ
これを「とがってる」と解釈しているのかな?

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