知られざる女子刑務所ライフ71

元女囚が考える最新刑務所事情――ワイロにパワハラ……ムショはまだ昭和の時代?

2019/08/11 16:00
中野瑠美
京都刑務所(出典:法務省ウェブサイトより)

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■刑務官にワイロを渡すのは、それほど珍しくはない

「今どき刑務所でワイロなんて、昭和のヤクザ映画みたいですね」

 宮城刑務所で「受刑者が刑務官にワイロを渡して大福やロールケーキを差し入れさせていた」という事件があったそうで、編集者さんも驚いていました。

 ホンマもう令和の時代やのに、ワイロなんて昭和モードですね。私が獄中(なか)にいた時も、さすがに現金はないですが、刑務官にゴマをすってる懲役(受刑者)はけっこういてました。そうすると、トラブルがあった時に大目に見てもらえたりしますからね。私は一貫して刑務官には媚びずに反抗的でしたが、私のことを思って厳しくしてくれる刑務官の言うことはちゃんと聞いてました。

 実はムショでは、刑務官にワイロを渡すのは、それほど珍しくはないです。時々めくれて(発覚して)、ニュースになっています。それに、獄中ではホンマに甘いものがめっちゃ食べたくて、夢にも出てくるくらいなので、この懲役の気持ちはわからないでもないです(笑)。

 でも、1年くらいの間に1人の刑務官に「現金138万円」を渡すのは、高すぎる気もしますね。警察も怪しんでいるそうです。大福やロールケーキだけやなくて、別の目的があったかもしれませんね。この刑務官はもちろん懲戒免職ですが、サラ金で借金があったそうです。

 それにしても、これがめくれたきっかけは「紙のメモ」やそうで、これまた昭和っぽいですね。お金をもらってた相手との「連絡メモ」が、なぜか職員の共用の机の書類に挟まってて、それを同僚に発見されたのだそうです。こんな危ないメモは、ソッコー捨てなあかんでしょう。

 ニュースだけではわかりませんけど、もしかしたら、もう刑務官も関係を断ちたくて、わざと置いたのかもしれませんね。

女子刑務所ライフ!
排水管パイプってどこから持ってきた?
アクセスランキング