ロングインタビュー第4回

【幸福の科学学園1期生語る4】青春をエル・カンターレに捧げた私が、いま教団について思うこと(追記アリ)

2019/08/20 16:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman
幸福の科学学園公式サイトより

 

【サイゾーウーマン編集部より】

 8月17日~20日掲載の「幸福の科学学園1期生が語る」全4回のインタビューに関して、幸福の科学広報局より、下記の申し入れがありました。

「本記事は、極めて偏った個人の見解のみを取り上げたものであり、幸福の科学学園やハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の実像や信仰生活のあり方、信者の生活信条について、実際の姿を伝えているとは到底言い得ないものだと考えます。本記事には、極めて多くの事実誤認が存在しますので、主なものについて、記事内で当グループの見解を提示させていただきます」

 編集部は幸福の科学広報局の見解を拝受し、その内容に一部に疑問点が生じたので、追加質問状を送付し、回答いただきました。当初、幸福の科学広報局は「追加質問と回答の掲載をお断りします」とのことでしたが、編集部より「追加質問内容」に関しては、編集部側の公表権にのっとり掲載する旨を伝えたところ、公平性の観点からどちらも「全文掲載」してほしいとの申し入れがありました。幸福の科学学園1期生Aさんの実体験を読んだ上で、幸福の科学広報局と編集部の一連のやりとりを当該ページの下部に掲載いたしますので、見ていただければと思います。

 なお幸福の科学広報局より、「本記事は、事前に当グループへの事実確認が全くないまま作成されたものであり、当グループが申し入れを行った後で、漸く質問状が届くというものでした。これは、『公平性と正確性』というジャーナリズムの基本を外したものであると同時に、宗教に対する著しい偏見に基づくものであると言わざるを得ません」との見解が届きました。編集部は、「宗教における2世信者の抱える葛藤」が世に出にくいという背景を踏まえ、社会に問題提起したいという思いから、表現の自由、言論の自由のもと、内容に真実性や批評性があると判断した上で、このインタビューの掲載に至りました。


 宗教団体「幸福の科学」の創始者兼総裁である大川隆法氏が設立し、信者の2世が通うとされる男女共学の全寮制中高一貫私立校「幸福の科学学園」。同校の設立から5年後となる2015年、幸福の科学は、4年生大学の開学計画として「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)」も設立している。大学設置基準の要件を満たさないとして大学の認可は得られず、大卒認定は受けられない私塾の位置づけだが、偏差値70とも言われる幸福の科学学園から8割近い生徒が進学している実情もあるようだ。

 サイゾーウーマンではこれまで3回にわたって、高校1年生からの3年間、幸福の科学学園に在籍した1期生・Aさんに、ベールに包まれていた学園生活を聞いてきた。最終回となる4回目は、HSUに関するエピソードとともに、Aさんが今、幸福の科学自体をどのようにとらえているのかに迫る。

【第1回】「私は選ばれた人間」と思った――大川隆法氏登場に涙した入学式
【第2回】社会科で「霊言」「過去世」の話題も――知られざる授業内容
【第3回】異性交遊した生徒は「独房懲罰」!? 鍵のない部屋で私物物色――息苦しい寮生活

HSUの入学を辞退したら「悪魔が憑いている」と説教

――幸福の科学が大学としての認可を目指す「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(以下、HSU)」については、何かご存じですか?

Aさん(以下、A) 私は幸福の科学学園を卒業後、一般の大学に進学しましたが、1年生のときに「次年度からHSUの1期生として編入しないか」と親に勧められたので、ある程度は知っています。HSUには、人間幸福学部、経営成功学部、未来産業学部、未来創造学部という4つの学部があって、政治、経済、宇宙、芸能など、幸福の科学グループの活動に関連する内容を教えているんです。卒業後は、出家して幸福の科学の職員になったり、幸福実現党に入ったり、幸福の科学が運営する芸能プロダクションに所属したりする人が多いみたいですね。大学として認可されていない分、好き勝手やっているというか、幸福の科学学園より宗教色が濃い印象もあります。
【幸福の科学広報局コメント8】 【幸福の科学広報局コメント9】

――Aさんは、親から勧められて入学したのですか?

A いいえ、していません。HSUの話が持ち上がったときは、大学の認可が下りる前提だったし、幸福の科学学園の卒業生であれば推薦で合格できたようなので、私もはじめは「転学してもいいかな」って思っていました。でも、開校の数カ月前に、不認可の通知が出て私塾になることが決定したので、「大学を辞めてまで入り直すことはない」と思い直したんです。でも、親には「HSUに行かなかったら絶対に不幸になる」と言われ、「不幸になったときに親のせいにしない」という誓約書まで書かされました。

――不認可になったことで入学を辞退した人も多かったのでは?

A 辞退したのは少数で、ほとんどみんな入学したみたいですよ。辞退したの子の中には、辞退を申し出てから開学までの間、数人の教授と何回か面談させられたことがあったと言っていました。教授から突然電話がかかってきて「あなたには悪霊が憑いている」「私が教育し直す」などと説教されたといった話も聞きましたね。 

――なかなか衝撃的ですね。

A 実は幸福の科学学園に在籍していたときにも、似たような話を聞いたことがあるんです。学園を辞めようか悩んでいた生徒が、現在校長を務める女性に突然呼び出されて、カフェテリアで数時間くらい説教されたなんて話も。幸福の科学の信者は、表向きは穏やかで優しい人が多いのですが、幸福の科学を否定された瞬間、態度が豹変したり、悪霊が憑いていると言い出したりする人もいるんです。

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(追記)

【幸福の科学広報局コメント8】
本記事では、「卒業後は、出家して幸福の科学の職員になったり、幸福実現党に入ったり、幸福の科学が運営する芸能プロダクションに所属したりする人が多い」としていますが、事実ではありません。HSUの約250名の卒業生のうち、教団職員など当グループ関連事業に進む者よりも、一部上場企業を含めた一般企業に就職する者の方が多くを占めています。今年の卒業生の就職率は99%となっています。

◎編集部からの追加質問
1.「ヤングブッダ」2019年9月号では、2019年卒業生の進路に関して、「企業への就職」58.1%、「幸福の科学グループへの奉職」38.3%と明記されています。つまり卒業生を約250名とする場合、その中の約96名が、教団職員など幸福の科学グループ関連事業に進んでいる(出家)ということですが、これは事実でしょうか。

2.卒業生の就職先の企業一覧を公表していただけますか。なお、2019年2月末時点での人間幸福学部2018年度「就職先一覧」は下記のように把握しておりますが、他学部の一覧をお願いいたします。

(株)アウトソーシングテクノロジー、(株)アカデミー、アドバンテック(株)、(株)アールサン、(株)ウェディングボックス、一般社団法人エル・グランマ、(株)エルプランニング、(株)おかけんリフォーム、(株)勝美ジャパン、(株)かりん不動産、(有)紀の国屋、(株)グレースホールディングス、(株)七呂建設、(株)サンエー・ビーディー、合同会社GLC、ジョブ・クリエーション・カンパニー(株)、大黒天物産(株)、(株)東京コンサルティングファーム、(有)谷口屋、(株)T.S.I、(株)ドリームファクトリー、中川企画建設(株)、ハッピースマイルクリニック、ハミューレ(株)、(株)ビジュアルビーツ、(株)Beat Communication、(株)ピルロ、(株)VSN、(株)福岡建設、(株)福岡建設合材、(株)ヘルメスシステムズ、防衛省、ホテル三日月グループ、ミノラス不動産(株)、ユートピア建設(株)、(株)渡邉商事、(株)ワンダーテーブル

◎幸福の科学広報局からの回答
(卒業生の進路に関して)
教団職員など幸福の科学グループへの奉職者数は公表しておりませんが、38%程度という比率は、就職希望者に占める割合を示しています。卒業生のうち、進学、留学、家業を継ぐ、芸能関係に進む、社会人のため就職する必要がない等の理由で就職を希望しない者もおり、当然のことですが卒業生数と就職希望者数には差が生じます。
(就職先の企業一覧に関して)
就職先一覧は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ学校案内2020に記載されています。同一覧は全学部の就職先をまとめたものであり、人間幸福学部のみではありません。

【幸福の科学広報局コメント9】
HSUカリキュラムのほとんどは、大学設置基準に沿った内容で、一部、幸福の科学の教義的なものが「宗教学」的な位置づけで入っており、本記事のいう「政治、経済、宇宙、芸能など、幸福の科学グループの活動に関連する内容を教えている」は事実に反します。また、「幸福の科学学園の卒業生であれば推薦で合格できた」という事実もありません。HSUの推薦については、学力等を総合的に見ており、学園生の全員が受けられるわけではありません。

◎編集部からの追加質問
1.「HSUカリキュラムのほとんどは、大学設置基準に沿った内容で、一部、幸福の科学の教義的なものが『宗教学』的な位置づけで入っており、」という箇所について。「一部」が抽象的でしたので、具体的に講義等で使用される「テキスト」を軸にご質問したく思います。幸福の科学出版から「HSUテキスト」「幸福の科学大学シリーズ」が出版されています。これらは幸福の科学の教義が盛り込まれた、HSUで使用されているテキストと思われます。カリキュラムにおいて、これらのテキストを使用する年次、期間を各学部ごとに「数字」でお教えください。

2.HSU公式サイトでは、「人間幸福学部」に関して「人類普遍の幸福を探究する『幸福の科学教学』を徹底的に学び尽くすとともに、哲学、宗教学、心理学等の幅広い専門知識を身につけ、『人間学』『幸福学』を身につけます。」と記述されています。この文言からは「一部」と認識できない印象です。また下記の大川隆法氏の著書の一節からも、同様に「一部」と認識できない印象があります。「一部」の根拠をお教えください。

「今後、まだまだ学問体系が分化していくとは思いますが、その基礎となる部分の“心臓のポンプ役”として、『人間幸福学部』が存在するといえるのではないでしょうか。」
『新しき大学の理念 「幸福の科学大学」がめざすニュー・フロンティア(幸福の科学大学シリーズ1)』126P
「トータルの概念として、一般的な意味での『人間幸福学』が全学部にかかっているわけで、要するに、これは、創学の理念としても存在しているものなのです。」
『「人間幸福学」とは何か―人類の幸福を探求する新学問―(幸福の科学大学シリーズ3)』16P

3.「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ学校案内2015」において、「【募集対象者】入学前年度3月31日時点で18歳以上の三帰信者」とあります。つまり、HSU1期生は「信者のみ」ということでしょうか。2014年度幸福の科学学園卒業生は、 100 名中84名がHSUに合格していますが、同年度の「幸福の科学学園既卒生」のHSU志望者数と推薦による合格者数をお教えください。

◎幸福の科学広報局からの回答
(HSUテキストの使用状況)
HSUテキストは複数学年にまたがって使用されており、一律に使用年次を明記することはできません。

(人間幸福学部と大学設置基準)
人間幸福学部では、大学設置基準に基づいて、哲学・美学芸術学、宗教文化、心理学・看護学をはじめとする人間科学等の人文学分野の学修を通じ、「幸福」の本質を考究します。特に、近年、学際的研究が進められている「幸福学」と呼ばれる先行研究を教育課程に取り入れ、多角的な視座から「幸福」について探究し、幅広い教養と柔軟な思考力、高度な専門知を身に付け、社会の諸問題を解決する意欲を有した、社会の発展に寄与する人材を育成することを目指しています。

(HSU募集対象者と推薦に関して)
HSU1期生を募集するに際しては、宗教法人「幸福の科学」が運営する高等宗教研究機関として募集しており、実際の入学者は全員が信者でした。その内の学園既卒者数は公表しておりませんが、学園卒業生のうち、いわゆる浪人生にHSUへの推薦を出すことはしておりません。

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