“噂の女”神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第468回】

吉本興業の隠蔽、恫喝体質より宮迫の“鬼嫁”を報じる「女性自身」の“弱いものいじめ”

2019/07/23 21:00
神林広恵
「女性自身」8月6日号(光文社)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 日曜日に行われた参院選。気になるのが「改憲勢力」の議席だが、改選前にくらべて6議席ダウン。でも、安倍首相は「連立与党で71議席、改選議席の過半数を大きく上回る議席をいただきました」だって。息をするように嘘をつく。いつものことだけど。

第468回(7/18〜7/23発売号より)
1位「宮迫博之 “闇営業”への暴走のカゲに『“鬼嫁の財布管理がキツすぎる…』」(「女性自身」8月6日号)
参照「宮迫博之 『引退は考えていない』逆境からの“復活プラン”とは!?」(「週刊女性」8月6日号)
2位「中居正広 『苦渋の欠席!』木村拓哉の“隣の空白”と『僕の本当の居場所』」(「女性セブン」8月1日号)
3位「『金スマ』スタッフが女性出演者を盗撮していた!」(「週刊女性」8月6日号)

 いやはや。すごい展開になってきた吉本興業の闇営業事件。契約解消された雨上がり決死隊・宮迫博之と謹慎中のロンドンブーツ1号2号・田村亮が7月20日に記者会見を行ったが、そこで語られたのは吉本興業の隠蔽、恫喝体質というあまりにもひどい実態だった。さらにこれを受け、昨日22日には吉本興業の岡本昭彦社長が会見を開いたが、これまた謝罪にも釈明にもならないひどい代物。さすがのワイドショーも吉本興業、そして岡本社長を批判する事態となっている。

 今週の女性週刊誌では締め切りの関係上、岡本会見は間に合わなかったが、「女性自身」と「週刊女性」が宮迫と亮の会見を記事化している。しかし、これがひどい。

 まずは「週刊女性」。会見で2人が語った吉本興業の対応、岡本社長の恫喝ぶりを紹介はしているのだが、それに対して突っ込んだ論評をするわけでなく、「気になるのは、今後の宮迫や亮の復活プラン」として、テレビ出演は難しいだとか、飲食経営だとかを“推測”する始末。会見で語られた吉本興業の体質や、吉本自体と反社会勢力との関係について、さらに株主となっているテレビ局との関係など、もっと取り上げるべきことがあると思うが、それらは完全にスルーされている。でもって、飲食経営ってどうなのかと思うが、しかし「週女」は岡本社長の発言をある程度取り上げただけましかもしれない。というのも「女性自身」はさらに唖然とする記事を掲載しているからだ。

 「自身」記事には、亮が会見を懇願した際、岡本社長から「やってもええけどそんなら全員連帯責任でクビにするからな」と言われたとの記述はあるが、それだけ。代わって大きなウエートを占めるのが、宮迫の闇営業と“鬼妻”の関連についての記述というすごい展開だ。

 いわく、売れっ子の宮迫が闇営業という暴走を続けたのは嫁が財布を握り、宮迫は小遣い制だったから。金遣いが荒く、後輩芸人と飲みに行くと10万~20万円は散財する。時計好きで知られる宮迫は高級時計に高額をつぎ込んでいる。よって嫁に頭の上がらない宮迫は、軍資金が必要で闇営業に手を出した――。そして、なぜか宮迫の母親を直撃する「自身」。

 今回の問題の本質である吉本興業自体ではなく、宮迫の嫁をクローズアップして、その挙句、実母を直撃するなんて――。まさに弱いものいじめとしか言いようがないが、しかし今回の闇営業問題でクローズアップされたのは、芸能マスコミの“弱いものいじめ”の体質かもしれない。そもそも問題発覚当初、カラテカの入江慎也だけを切り捨て、売れっ子の宮迫らを厳重注意処分で済ませたのは吉本興業だ。そしてマスコミも吉本興業の言い分に丸乗りし、売れっ子の宮迫を擁護するかのような報道を展開した。金銭授受が明らかになると、「嘘をついていた」と宮迫らを批判するようになるが、しかし吉本興業について追及することはなかった。さらに今回、岡本社長が大きくクローズアップされたことで批判の矛先となっているが、しかし、吉本興業の本当の支配者、“ドン”である大崎洋会長の責任については、ほとんど言及さえされていない。挙句、「自身」の切り口が“鬼嫁”で、「週女」は“復活プラン”って――。

 おそらく22日の岡本社長会見を受け、引き続き女性週刊誌もこの問題を報じるだろう。そこで吉本興業の体質や大崎会長の存在がきちんと取り上げられるか否か、無理だと思うけど、一応注視したい。

吉本興業を創った人々
問題の本質はどこに?
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