世界的に支持されているけれど

無印良品の衣類は「本当に良品」なのか? 「夏の麻素材服は微妙な出来」と専門家解説

2019/06/25 16:30
南充浩

無印良品の「コスパがいい商品/悪い商品」

 さて今回、そんな無印良品の衣類について、サイゾーウーマン編集部から「本当に『良品』なのですか?」というテーマで執筆依頼が来たのですが、こうした疑問が湧いてくるのは不思議ではありません。今の低価格ブランドやユニクロを見慣れた人からすると、全体的に「割高感」があるため、それ相応の品質が伴っているか、気になるところなのではないでしょうか。

 割高感に加え、その仕様に疑問を抱くアイテムもあります。無印良品が夏に展開する麻素材の服は、微妙な出来が多いと感じています。例えば、麻100%のスラックスがありますが、この麻100%というのは、洗濯をするとひどくシワシワになってしまうものです。ドレッシーなスラックスタイプだと、そのシワシワはミスマッチになってしまいますから、これはもっとカジュアルパンツに寄せたデザインにすべきだったのではないかと思います。また、昔買った麻100%ジャケットもシワシワ感が目立つものだったのですが、袖裏に裏地が付いておらず、着用時の滑りが悪かったことがあります。

 また冬用の防寒アウター類も微妙な印象も拭えません。例えば、ユニクロよりも1,000~2,000円くらい高い軽量ダウンジャケット類は、品質においてあまり納得できません。またウールコート類もやはりユニクロと比べ、価格、品質の面で、「飛び抜けていい」とは言い難いのです。

 しかし、逆に他ブランドよりも安く品質もいい商品もあります。例えば靴下ですが3足で890円です。さらに今秋からは3足790円へと値下げするとのこと。個人的に、無印良品の衣類の中で最もコスパが高く、機能的に優れていると思っているのがこの靴下で、特に「脱げにくいフットカバー」は圧巻です。

 夏にはスリッポンシューズを履くことが増えますが、靴の履き口から靴下が大きく顔を覗かせているのはバランス的によくありません。そこで考え出されたのが、足先とかかとだけを覆い、足の甲の部分がない「フットカバー」という商品で、業界的にはレディース用が先行しました。メンズ向けに広く出回るようになったのは、その後のことになります。

 ところが、このフットカバーという商品は甲の部分がむき出しですから、構造的に極めて「脱げやすい」のです。14年頃まで、ユニクロ、ジーユーなどさまざまな低価格ブランドのフットカバーを試してみましたが、いずれも歩いていると靴の中でかかと部分から脱げてしまい、イラッとして手持ちのフットカバーを全て捨てたこともあります。そんなときに「脱げにくい」という文字に惹かれて買ったのが当時3足990円の無印良品のフットカバーでした。

 ほかのブランドの多くは、不安定な構造を補完し、脱げやすさを解消するために、かかとの内側にジェルのような滑り止めが付いていますが、無印良品のフットカバーは、ジェル部分がありません。全て編み生地だけで作られているにもかかわらず、靴の中でほとんど脱げないのです。よほど足をねじったような歩き方をすれば脱げることもありますが、通常、足をねじりながら歩く人はいません。ジェルなしでこの「脱げにくさ」を保った上で、現在3足890円という安さは業界随一と言っても過言ではありません。あまりに気に入ったので、これを9足くらい持っていて、毎年3足ずつ買い足しています。

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