【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報

スピリチュアルから「目が覚めた」――元happy信者の告白

2019/06/12 21:00
黒猫ドラネコ
 
 
 
 
 
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Sachi。(さちまる)さん(@happy_official0904)がシェアした投稿

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 「悪いことをしたら、ちゃんと謝ろうね」。幼い頃、こんなことをよく言われませんでしたか? 信者ビジネスを繰り広げるスピリチュアルな“教祖様”の中には、残念ながら「ごめんなさい」がどうしても言えない人もいます。自分の罪を認められない教祖様を前にしたとき、信者はどうするのか。今回はそんな話です。

 前回、キングコング・西野亮廣さんとのつながりで、スピリチュアル・ブロガーhappy(現在は「さちまる」「竹腰紗智」に改名。以下、元happy)について少し触れました。彼女は「引き寄せの法則」の語り部として、ここ数年、スピ好きな若い世代を中心に、圧倒的な支持を得ています。彼女がつづるブログも大人気でしたが、昨年末に突然削除。そしてすぐに改名し、現在もhappy時代と同じような活動を続けています。現在は「さちまる」を名乗っていて、インスタグラムのフォロワー数は約3万9,000人。いまだ熱心なファンに囲まれているようです。インスタライブではほぼ毎朝、元happyのありがたいお言葉が聞ける配信を行っており、多い時では7,000人ほどが集っている様子。そんな人気者ですが、実は今月頭に、元happy界隈で“プチ炎上”が起こりました。

雑誌発売延期の“お粗末”な言い訳

 元happyのお気に入りフレーズといえば、「I AM THAT I AM(わたしはわたしである)」。この言葉をモチーフに、元happyのお友達・パールさんが「iTHAT」なる雑誌を監修し、ネット限定で販売を行っています。スピリチュアル界隈で有名な人々のインタビューや対談なども掲載され、その内容はいわば、“happyちゃん機関紙”。1冊3,000円と雑誌としては結構な金額ですが、まるまる1冊ほぼカラーページとのことで、彼女を信仰する人にはお手頃価格設定でしょう。第1号の好評を受け、6月3日に第2号の発売告知がありました。パールさんは自身のインスタグラムで、元「子宮委員長」八木さやさんへのインタビューの記事を小出しにするなど、スピ好きな人たちの購買意欲をうまく刺激していました。

 信者ビジネスは公に広告が打てない事情もあり、SNSを駆使して商品を宣伝するのが定石です。「iTHAT」第2号の宣伝も、一味違いました。雑誌の発売に合わせるように、元happyと行動を共にする親友・愛さんという女性芸術家がデザインしたノート(B6サイズ60ページ仕様で、表紙以外はごく普通のノート)を、3冊セット3,000円で売り出すと告知。なんと「パールちゃんVS愛ちゃん どちらが売れるか企画」を行い、信者たちを煽る煽る。私も思わず前のめりに「どっちが勝つの!?」と白熱し……というのはウソで、冷ややかに眺めていました。

 そして迎えた「iTHAT」第2号発売日。もちろん私も(いろんな意味で)ウキウキしながら待機していました。というのも、 発売予定時間に購入希望者に向けたインスタライブがあったのです 。そんな盛り上がりもあってか、専用ショップにアクセスしても、なぜか「iTHAT」第2号だけ販売が始まりません。「アクセス殺到が原因か?」と私も信者たちも混乱する中、インスタライブにはパールさんと愛さんが登場。なんと、ここで初めて「iTHAT」第2号の“発売延期”が発表されたのです。「どうして?」「理由が知りたい」と右往左往する信者からのコメントを尻目に、なぜかパジャマ姿の元happyとその取り巻きたちは、リラックスした様子で「買えなくて残念な気持ちが怒りになったの?」と問いかけます。発売延期について明確な説明をしないまま、パールさんが「私自身は納得してやってることだから、この(延期の)流れを信じている」とコメント。そして、元happyは「これは起こらなきゃいけないから起こっている。何かの意識変換」「一流のクリエイターは急に変えることが多い。それは、インスピレーションを信じているから」とかなんとか、興奮気味に持論を展開。これに同調するように、パールさんは「なんか謝る感じがない! 今までだったら『ごめんなさい』って言っちゃいそうだけど、それに違和感があるっていうか。なんか、満足してる。気にしない自分の感覚ができたことがうれしい」と満面の笑みで語り、元happyらは「カッコいい!」と拍手喝采。いや、あの……私は一体何を見せられているんだ!?

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この人たちの主張を理解できるのは、ある意味才能
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