大流行となるのか?

「メチャカリ」「エアクロ」注目の洋服レンタルサービスが抱える“落とし穴”とは……?

2019/05/31 16:30
南充浩

カジュアル服をレンタルする必要性は?

 これまで、レンタルサービスがなかったわけではありません。例えば結婚式で着用するウエディングドレスやタキシード、パーティードレスなどは、以前からレンタルサービスがありました。と言っても、レンタルサービスそのものが独立した事業ではなく、結婚式場やセレモニーホールの有料オプションという位置づけが大半です。また成人式の着物もレンタルサービスがあります。

 これらの服をレンタルする意味は、とてもわかりやすいものです。ウエディングドレスやタキシード、パーティードレスなどは、通常購入すると高額な上に、生涯に何度も着ません。特にウエディングドレスは、(うまくいけば)生涯にたった一度しか着ないのです。よほど思い入れのある人を除けば、そんな物はレンタルサービスで十分だと考える人が多いのも当然。成人式の着物にしても同様です。買って記念に置いておいてもよいのでしょうが、それこそ、保管場所の問題もありますし、保管方法が間違っていれば、虫食いや変色というリスクもあります。

 しかし、カジュアル服のレンタルというのはどうでしょう。価格も利用頻度も、先に挙げたウエディングドレス等とはまったく異なります。果たして、わざわざ借りる必要があるものなのか。私がピンと来ない、魅力を感じないというのは、「カジュアル服を借りるという必要性」を感じないからです。

 ストライプインターナショナルもエアークローゼットも上場企業ではないので、細かな数字は発表されていませんが、あまり好成績というわけではなさそうです。今年2月にストライプインターナショナル・澤田昌紀部長のインタビューが、ウェブサイト「ファッションスナップドットコム」に掲載されましたが、それによると「有料会員数は1万2000人を突破し、広告宣伝費を除けば、今年度黒字転換している」とあります。スタート3年で有料会員数1万2000人、広告宣伝費を除けば黒字という業績は、ほかのファッションテック系(ITなどを活用してファッション業界を活性化させることを目指したサービス)と比べると、その成長スピードは遅いと言わねばなりません。

 特に「広告宣伝費を除けば」という言葉に着目すると、これはつまり「広告宣伝費を含めるとまだ赤字が続いている」ことになります。実際はいまだに赤字なのです。「メチャカリ」は月額5800円なので、有料会員数1万2000人ということは、返品手数料が1回につき380円かかることを含めても、売上高はどんなに多く見積もっても1億円に満たないと考えられます。月額会費だけなら7000万円弱の売上高にしかなりません。

 またメチャカリよりも注目度の高いエアークローゼットですが、発表されている範囲内では直近の決算では赤字でした。2018年6月期決算では、当期損失9億6676万円に終わっています。さらに17年6月期と比べても当期損失額は5億8,800万円増えているのです。投資が先行しているという状態なのかもしれませんが、決して順調とは言えないのではないでしょうか。

 また会員数は16万人を突破したと報じられていますが、それはあくまで登録会員の数であり、有料会員数は明かされていません。もし、有料会員数が順調に伸びていて、驚くほどに増えているなら、とっくに公開されているのではないかと思います。そのため、うがった見方をすると有料会員数はそれほど増えていないのではとも考えられるのです。

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