【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報

スピリチュアルな「1万円の自己啓発セミナー」へ行く前に知ってほしいコト

2019/04/17 22:00
黒猫ドラネコ
Photo by Slyvia Sampson from Flickr

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 はじめまして。黒猫ドラネコと申します。このたび、縁あって連載させていただくことになりました。Twitter上で2年ほど、ネット社会にはびこる“怪しいもの”や“おかしなこと”を観察してきました。一部には共感され、また一部には「なんだアイツ」と、多分言われています。少しでもご興味を持っていただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、私はこれまで「自己啓発セミナーの信者ビジネス」「怪しいスピリチュアル」などを、毎日のようにTwitterで批判してきました。子宮系女子、心屋カウンセリング、卑弥呼の生まれ変わり、スピリチュアルブロガーhappyちゃん、胎内記憶、アカシック・リーディング……。もしかしたら、どれか目にしたことがあるかもしれませんね。しかし、その実態や、距離感を誤った時の恐ろしさを、どれぐらい知っていますか?

「1万円の自己啓発セミナー」が招く“破滅”

 彼らの主戦場は、FacebookやInstagram、アメーバブログが多く、ここでは心の弱った人を甘くいざなうような話が散見されます。不思議なことに、Twitterは水が合わないのか、“教祖様”たちはすごくおとなしく、ほとんどそんな話をしていません(ちょっとはこっち来て、私とも遊んでくれや!)。

 私がこうして発信するようになったきっかけは、そんな彼らの恐ろしさを目の当たりにしたからです。私の大切な人は、スピリチュアルにかぶれ、無責任な自己啓発のマインドコントロールを受けたこともあってか、すっかり心が壊れてしまいました。家族は嘆き、親戚一同は悲しみ、その渦中に私はいました。当事者を抱きかかえ、同じようにもがいて、苦しんで……。あまり思い出したくないし、おもしろおかしくこの時のことを書くのは、難しいかもしれません。それでも、広めておくべき「被害」のわかりやすいケースでした。

 例えば、あなたの大切な友人が、ある日ネットで知った「受講料1万円の自己啓発セミナー」に行ったとしましょう。「おもしろかった」と喜んでいて、次週にはそこで「3万円の開運グッズ」を購入。この段階で「怪しいな」と思い、友人にやんわり注意してみるも、「あなたになにがわかるの?」「なにをしても自由だし、ほっといて」と突っぱねられてしまいます。そして友人は、翌月までに「年会費12万円のオンラインサロン」に入会し、「25万円の特別合宿」に参加。気づいた時には、「100万円の集中講座」を受け、「認定講師」になっていました。

 でも、その友人には家族がいます。子どもはまだ小さく、これからお金もかかるでしょう。それなのに、「幸せになった仲間がたくさんいる」「自分の幸せが、家族の喜び」「お金は出せば入ってくるもの」などと勝手なことを口走り、学資保険を解約するなどして、無計画に散財してしまいます。友人との約束は遅刻やドタキャンが当たり前になり、家族の注意にも聞く耳を持たず、平然と「人に迷惑をかけていい」と言うようになり、揚げ句の果てには、育児放棄まで……。

 これは、決して大げさな話ではありません。怪しいスピリチュアルや自己啓発セミナーに心酔してしまうと、同じような道をたどる可能性があるのです。

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