【連載】オンナ万引きGメン日誌

万引きGメンが語る「悪い女」! 柳原加奈子似の25歳専業主婦が、微笑みながら明かした逮捕歴

2019/03/09 16:00
澄江

あの女がまたショッピングモールに現れた!

それから2カ月ほど経過した、ある日。件のショッピングモールにおける勤務を開始した直後に、以前見送った彼女が一人で入店してくるのが見えました。前回同様、子どもの写真を使って作られたキーホルダーがついたボストンバッグも持ってきているので、おそらくは今日もやる気なのでしょう。不審者の行動を入店から確認できるのは、私にとって、この上なく有利なこと。しかし、鋭い視線で周囲を警戒しながら、広い食品売場を素早く動きまわる彼女の犯行を現認するのは至難で、なかなかうまくいきません。近付けないまま右往左往しているうちに、いくつかの商品を隠されてしまう始末です。なんとかしなければと、変な汗をかきながら必死に追尾していると、不意にエスカレーターに乗り込んだ彼女は、上階にある人気洋服店に入っていきました。

(ハシゴするつもりかしら……)

この洋服店は、同じモール内にあっても、契約先ではありません。でも、使用する休憩室は一緒なので、この店の女性店長さんとは顔見知りの関係で、万引き犯を捕捉することも許されています。

「ちょっと、お邪魔しますね……」

無断で店内に入るのは気まずいので、入口近くで品出しをしていた女性店長に小さく声をかけると、全てを察した様子で微笑んでくれました。それからまもなく、婦人用のパンツとインナー、それにディスプレイされているハンドバッグを自分のボストンバッグに隠した彼女は、支払いを済ませることなく洋服店を出ました。明確な現認がとれたので、遠巻きに彼女を追うと、隣接する100円ショップに入っていきます。

そこで複数の化粧水や詰替用ボトルなどを、次々とボストンバッグに隠した彼女は、レジのない方の出入口を使って店を出ました。警戒しているのか、人気のない階段を使って1階に降りる周到さです。少し距離を置いて、足音を立てないように階段を駆け下りた私は、店の前にある駐輪場で彼女に追いつきました。見覚えのある自転車の子ども席に、ボストンバッグを載せたところで声をかけます。

「お店の者です。そのバッグの中に、お金払ってないものあるでしょう?」
「あ、はい。すみません……」

こちらが拍子抜けするほど、犯行を素直に認めた彼女を事務所に連れて行き、盗んだ商品を出させると、洋服店と100円ショップで現認した商品のほかに、食品売場で盗んだお酒やフルーツ、高級和牛肉など10点(およそ6,000円相当)の被害品が出てきました。3店の被害合計は、計29点、合計1万3,000円ほどになり、ブツ量からすれば逮捕されてもおかしくない状況です。

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