インタビュー

高橋一生も実践する「素手でのトイレ掃除」、医師が医療衛生面からの“危険度”を解説

2019/03/07 15:27
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

「手をきれいに洗えば大丈夫」にも落とし穴が

 しかし、素手でトイレを掃除することを勧める人の中には、「その後、手をきれいに洗えば大丈夫」とする声もある。星野先生は、「もちろん、掃除をした後は手指衛生(いわゆる手洗いなど)が必要になります」としながら、大きな落とし穴があると指摘する。

「『きれいに手を洗う』というのは、思った以上に難しいことなのです。病院でも『スタンダードプリコーション』といって、感染症専門家が『手指衛生』をスタッフに講習を行う状況ですので、一般の方が『きれいに手を洗った』と言っても、完全にきれいな状態になっているとは言えない可能性があります。きれいに手を洗うには、特殊な薬剤を使う必要はありませんが、たくさんの流水で隅々まで洗うことが重要で、それは非常に難しいことと言えるでしょう」

 医療衛生の観点からは、「手袋を装着しての掃除をおすすめします」と星野先生。「手指に目に見えないような傷があった場合、そこから細菌が入り込み、感染してしまう可能性もあるので、素手での掃除は、精神論以外からすると、まったくおすすめできません」と断言した。

 なお、トイレでノロウイルス等に感染するケースはままあるが、ウイルスは一般的に、「アルコール消毒」では死滅しきらないことが知られているそうだ。

「『ウイルス用』として販売されている『次亜塩素酸』などが含まれた消毒薬を用いることで、より効果的な消毒が可能になります。なにより、インフルエンザやノロウイルスなど含めて、たくさんの流水による手洗いが最も重要な感染予防になると考えられています」

 素手でトイレ掃除をすることによって、心が磨かれたと実感し、今後も続けていきたいという人も多いだろうが、「医療衛生面ではどうなのか?」という視点も併せ持つべきなのかもしれない。

最終更新:2019/03/07 15:29
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