プウ美ねえさんのエプロンメモ

「寂しい方がマシ」友達関係を切りまくる40代女性へ……プウねえさんが語る「友情論」

2019/02/28 15:10
熊田プウ助
(C)熊田プウ助

家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。

<今回のお悩み>
「匿名掲示板でしか人とのつながりを感じない」
 いい年ですが、友達のことがすぐ嫌になり、音信を断ってしまいます。なんとなく軽んじられてるなと思うと(相手にしたら悪気はない言動かもしれません)もう嫌になり、グループにそういう人が一人いると、グループごと音信を断つのです。「あれは嫌だった」と伝えるのも相手が受け入れるかわからないし、自分の弱点を晒すようで癪だしと、断つ方が楽だと思ってしまいます。大人の友人関係ですし、職場の同僚など四六時中いる関係でないのだから、割り切ればいいのにと思うんですが、どうも嫌になりだすと、関係を切って、さっさとサッパリしたいのです。

 しかし、イライラするくらいなら寂しい方がマシなのが基本方針でありつつも、友情の暖かいエピソードを聞くと羨ましいですし、匿名掲示板でしか人とのつながりややすらぎを感じない自分にヤバさも覚えます。ねえさんの御著書を拝読したところ、お誕生日は一人お好み焼きとありましたが、とてもご友人が多いように見えます。人付き合いにいまだ迷っている、年だけは不惑にご教示願います。(冷え性さん、41歳)  

【プウ美ねえさんの回答】
 ご自分で納得しておられるのですから、なんら問題はありません。他人を都合よく矯正することなどできない、そうしたいと伝えて面倒を生むくらいなら去りたい。そのお考えはとてもいさぎよいです。すべての人が私たちの望みどおりに存在するわけではないし、不都合を指摘されたい人はおそらく少ないでしょう。双方ねがったりですね。そもそも人の気持ちはとてもふたしかで、友達になったから永遠だなんて不自然なことです。

 寂しさに耐える覚悟があるのもよいことです。友達は、一方的に寂しさをまぎらわせてくれるオモチャではありません。お互いを喜ばせ合うような関係はうるわしいですが、自分の欲求のためだけに誰かをキープするのはいささか乱暴です。おねえさんは絶倫・家電に詳しい・海外旅行をおごってくれるなどの友達がほしいけれど、彼らから愛される要件を持っていないらしくて、叶っていません。おどかすわけではありませんが、年をとり体の自由がきかなくなって行動範囲も狭まると、さらに寂しさは濃くきわまりますよ。けれども、欲望があるかぎり寂しさもつきまとうものだと、おねえさんも覚悟しています。

 友達の数を気にするのは無意味です。大勢とつるんで不幸になる人もいるし、友達をひとりも持たずとも幸せな人だっています。世の中に溢れる美しい友情や、熊田プウ助の漫画は無視してよろしい。人は楽しい経験を大きく言いたがるものです。皆友情の破綻や失敗をかかえていますが、気の滅入るエピソードをインターネットや漫画にかけばフォロワーと本の売れ行きが減るから言わないだけです。羨む必要などまったくありません。

【今月のエプロンメモ】
むかし、自分なりの友達の条件を考えたことがあります。「年に2回以上、二人だけで楽しくゴハン行けてる人」というものです。適用するとほぼゼロ人でした。いまは条件など考えず「変化する人と人が、一瞬ここちよく寄り添うラッキーな状態」なのだと思って、大切に味わうことにしています。

熊田プウ助(くまだ・ぷうすけ)
1969年生まれ、ゲイ漫画家。都内でひっそりと飼い猫と暮らす日々を描いたエッセイマンガ『世界でヤろう!! おひとりホモ☆』(ぶんか社)、『世界一周ホモのたび 狂』(同)、『TOKYO中年駄ホモ生活』(同)など。

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最終更新:2019/02/28 15:10
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