【連載】美容整形Dr.高須幹弥に訊く!

高須幹弥先生と考える、「扇風機おばさん」ハン・ヘギョンさんが教えてくれたこと

2019/01/28 21:00

整形依存の加速には“ボディイメージ障害”の可能性も

 恐らくお金がなかったからなのでしょうが、ヘギョンさんは、闇医者や自己注入に走ったことで、最悪の極致といえる状況になってしまいました。通常なら容姿が醜くなってきた段階でストップできますが、あそこまでエスカレートしてしまったのは、整形依存症のほかに“ボディイメージ障害”もあったのではないかと思います。

 ボディイメージ障害とは、例えば拒食症の人がガリガリになっても「もっと痩せなきゃ」と拒食を続けるように、脳の思い込みによって、他人に指摘されたとしても本来の姿に気づくことができない障害です。ヘギョンさんは、整形依存症と統合失調症に、ボディイメージ障害も合わさって、最悪な方向にいってしまったのかもしれませんね。

■整形依存に陥らない、大切な人を陥らせないために必要なこと

 もし醜形恐怖症や整形依存に陥ってしまったら、脱するには認知療法で治療するほかありません。そのような状況にならないためにも、整形時の医師選びは大切です。

 なぜなら、金儲け主義ではなく、人間的にもまともな医者であれば、必要最低限の手術だけをして、ある程度整った段階で「もう何もしなくていいよ」と言ってくれるから。悪徳な医師だと、利益のために不要な施術を勧めてきたり、おかしくなるとわかっていながら話を進めたりするので、依存しやすくなってしまうんです。金儲け主義の医師ほど、自己アピールや宣伝をよくするし、SNSやインフルエンサーの使い方もうまいので人気がありますが、そのようなことに流されず、よく見極めるようにしてくださいね。

 また、身近に整形依存の人がいたら、周囲の人も状況をきちんと教えてあげてください。特に女性同士の場合、陰ではウワサするのに、本人の前では「かわいい」「いいじゃん」などと言いがちです。人間関係を悪くしたくないのはわかりますが、本当にその人のことを思っているなら、「おかしいよ」「やめたほうがいいよ」と言ってあげるべき。本当なら家族がいちばん指摘しやすいのですが、最近は「娘に嫌われるのが怖くて言えない」など、おかしな親も多いので……。

 当事者においては、思い込みが激しくなって「なんでそんなひどいことを言うの!」などと思いがちですが、もし周囲から指摘されたら、大切な人を失わないためにも、素直に受け入れる姿勢を持ってほしいと思います。

高須幹弥(たかす・みきや)
美容外科「高須クリニック」名古屋院・院長。オールマイティーに美容外科治療を担当し、全国から患者が集まる。美容整形について真摯につづられたブログが好評。
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最終更新:2019/02/12 18:50
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