知られざる女子刑務所ライフ57

羽賀研二「激ヤセ」のワケとは? 元女囚が考えるムショの食事問題

2019/01/27 16:00
羽賀研二

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■羽賀研二の激ヤセはイジメが原因?

 出所後は再び芸能界入り……とも言われていた羽賀研二さんのサイタイ(再逮捕)にはびっくりしましたね。

 報道を見てて「へえー」と思ったのが、羽賀さんの「激ヤセ」報道です。「ムショでのイジメ」が原因ともありましたが、どうですかねえ。羽賀さんのような芸能人はほぼ独居ですから、ほかの懲役と顔を合わせることはまずありません。あったとしても少人数の工場になると思います。芸能人でも、懲役の回数が増えると一般の工場に配役になるようですよ(笑)。

 男性は寂しがり屋さんが多いので、誰とも話せないストレスでうつ病などになり、食事も取れなくなる可能性はあるかなとは思いますが、芸能人がイジメを受ける可能性はあまりないと思います。また、刑務官がイジメないとは言いませんが、やせ細るほどのイジメをしていたら、さすがに周囲も気がつくはずですよ。

■身長や作業内容によって変わるごはんの量

 では、なぜ羽賀さんは痩せてしまったのでしょうか?

 私は食事が原因かなと思っています。獄中(なか)での楽しみは、なんといっても食べること。私も学校給食の献立表みたいなメニュー表を毎日穴が開くほど眺めていました。ムショは基本的に三食ごはん(しかもどんぶり)で、白米が3割くらいの麦飯です。ぶっちゃけ初めはおいしくはないのですが、慣れるとヘルシーで白米に比べたらモチモチでおいしくなってきます。

 朝食は、どんぶりごはんと味噌汁、つくだ煮、ふりかけなどの簡単なおかずです。昼食はどんぶりごはんにメインのおかずと副菜が2種類くらいで、夕食も同じような感じですが、レトルトのカレーやシチューが出ることもあります。また、めったに出ませんが、ジャムやピーナッツクリームなどの甘いものがつくパン食は、めっちゃ楽しみでした。

 そして、ごはんの量は、身長と作業の内容によって細かく分けられます。女子刑務所にはまずいませんが、身長180センチ以上の懲役は、5センチごとに「身長食」といって少しごはんが多くなるそうですよ。

 また、造林作業や雪かきなどのハードな刑務作業は「特A」といって、ごはんは500グラム、工場での立ち仕事は「A食」で370グラム、座り仕事は「B食」で300グラム、懲罰房や入病(重い病気で病舎に入ること)などで作業を行わない受刑者には280グラムなどとなっています。ほかにも歯が悪い人のための「きざみ食」、糖尿病用の「糖尿食」、宗教に合わせた「宗教食」などもあります。

 おかずの量は同じなのに、ごはんばかりが多いので、女子刑(務所)ではこっそりとごはんを食べずにダイエットするコもいてます。食べない分を誰かにあげるのは違反なのですが、捨てるのももったいないし、けっこうあげるのは横行していましたね。刑務作業のない日曜日などは刑務官の数が少なく、基本的に舎房で過ごすのをいいことに、余ったごはんでおにぎりを作って、テレビを見ながら呑気に「ブランチ」を食したりもしてました(笑)。

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