【連載】モンペと呼ばないで! ~怒れるママたちの叫び~

荒れた公立小に入学させたくない! 「越境入学」をめぐる、保護者と学校それぞれの不満

2019/01/23 16:30

越境入学者のルール違反は、学校の悩みのタネ

 越境入学というかつてない児童が増えたことで、受け入れ側にも戸惑いが多いという。関東圏にある公立小学校で教育補助員をしている高橋さん(仮名)は、「うちの小学校は、隣接した地域に小学校が3校あるため、家と学校の距離がいずれも同じという場合、保護者が役所などで相談したうえで、本来の学区とは別の学校に越境入学を認めています。ただ、幼稚園や地域のママ同士のうわさ話などで、どうしても人気のある小学校と、そうではない小学校と分かれてしまい、学校側からすると悩みのタネなんです」と語る。

 この小学校では、通学班があり、集団登校をしている。越境通学者の場合、入学した1年間は、親が一緒に通学するというルールがあるが、越境通学が多いので「ルール自体が曖昧になっている」とのこと。保護者によっては、自宅から近い通学班のところまで送り届けた後は、任せっきりにするケースもあるという。

「まだ体力がない1年生の足だと、思った以上に通学に時間がかかるんです。越境入学者を待つために、出発が遅れる通学班もあり問題になっています。帰りは、保護者が、学校か通学班と別れるところまで迎えに来るルールになっていますが、学年が上がるにつれ、親が来ないケースも増えています。中には、『自分が子どもの時はもっと遠い通学距離だった』という理由で、まったく迎えに来ない保護者もいて困っています。越境入学をさせるにしても、ルールは守ってもらわないと……」

 教育に関心の高い都心部を中心に、増え続けている越境入学。公立でも学区にかかわらず、自由に行きたい学校を選べるのは、画期的といえるが、受け入れ側の体制や、条件などが明確化されておらず、年度によって受け入れ自体がなくなる可能性など、保護者側が不安に感じる要素も多い。これからも越境入学自体のニーズが高まると予想できる中、自治体間での共通ルールなどを定め、親側も通わせたい学校を選べるようになるのが、必要と言える。
(池守りぜね)

最終更新:2019/01/23 16:30
越境 (ハヤカワepi文庫)
時代は変わったものだわ……
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