なぜこの悲劇は起きたのか?

シンガポール「ティラミスヒーロー」パクリ疑惑……「HERO’S」は法的に罰せられるか、弁護士解説

2019/01/21 21:05

 では、「HERO’S」が法的に罰せられる可能性はといえば、「商標上、正しいことをしているので、罰せられません」ときっぱり。

「卑怯と言えば卑怯ですが、『商標』というものが、原則として国ごとに制度化されているものである以上、仕方がありません。恐らく、『HERO’S』の関係者が、過去にシンガポールに行った際などに『ティラミスヒーロー』を見つけてきて、国ごとに『商標制度』があるということを知った上で、先に『商標』を確保したと考えられます」

 シンガポールの「ティラミスヒーロー」側は、法的には“手も足も出ない”状況というわけだが、山岸氏は「HERO’S」の手法について、「いくら法律的に正しくても、ビジネス的には好まれません」と持論を述べる。

 「HERO’S」側は21日、公式サイトで、「多彩なキャラクターと本物のティラミスの味わいを特徴に、『ティラミスヒーロー』やキャラクターの商号・ロゴを取得して展開を進めております」「他社のティラミスに関する商品とは関係ありませんので、他社の商品と混同されませんようお気をつけ下さい」とコメントしているが、「たとえ商品開発の過程で『シンガポールの「ティラミスヒーロー」を見てインスピレーションを得た』というようなことがあったとしても、どういう経緯で、商品を生み出したのか、もっとちゃんと説明すべきだと思います。シンガポールの『ティラミスヒーロー』の関係者の方に敬意を払う必要があるのでは」

 このような“パクリ騒動”は珍しいことではないが、「日本の商品やサービスは、世界的にとても優秀であることから、近くの国にフリーライド“される”ということの方が、圧倒的に多い」と山岸氏は指摘する。確かに過去には、江崎グリコが、同社のチョコ菓子「バトンドール」を模したような商品を、韓国のロッテグループが販売しているとして、韓国の裁判所に提訴した事件もあったが、今回は日本側がフリーライド“した”騒動の可能性がある。「HERO’S」には、シンガポールの「ティラミスヒーロー」に、ぜひ誠意ある対応をしてもらいたいものだが……。

最終更新:2019/01/21 21:05
下町ロケット ヤタガラス
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