インタビュー

バファリン、イブ、ロキソニン……市販の解熱鎮痛剤、間違った「自己流の服用法」を医師が斬る!

2019/01/26 19:00

解熱鎮痛剤が効きづらくなることは「ない」?

 一方で、市販の解熱鎮痛剤を飲む頻度について、悩みを抱えてる人もいるだろう。例えばよく見聞きするのが、「常用すると効かなくなる」というウワサから、「本当につらいときだけ服用する」というケースだ。

「市販薬であれ、処方薬であれ、いわゆる解熱鎮痛剤、NSAIDsには徐々に効きづらくなるといわれている『耐性』は、“ない”と言われております。ですので、解熱鎮痛剤を常用したから効きづらくなるということは、ないと考えられます。腰痛などで常用した場合に『効かなくなった』とおっしゃる方もいますが、その場合は腰痛がさらに増悪したか、心理的に『効かない』と感じるかなど、その他の原因があるのではないでしょうか」

 ということは、つらくなるまで我慢せずに服用した方がいいということだが、解熱鎮痛剤の常用には、副作用の危険もあるようだ。

「特に高齢者の方や、持病がある方に多いのですが、複数の医療機関で名前の異なる解熱鎮痛剤を併用してしまっている場合があります。また、普段処方を受けている薬にプラスして、個人的判断で市販薬を勝手に飲んでしまっている場合もあります。解熱鎮痛剤を複数内服したり、あまり長期に常用することは、副作用の点で非常に危険です。腰痛や歯痛で痛み止めをたくさん飲んだことにより、『出血性胃潰瘍』となって、救急搬送や命の危険にさらされたり、肝不全、腎不全など生じてしまうこともあります」

 ちなみに、市販の解熱鎮痛剤のパッケージを見ると、「『頭痛用』『熱冷まし用』など、効能を分けて記載されていることがありますが、ほとんどの場合、根本的にな成分は同様の物質のことが多い」というだけに、別の薬を飲んでいるつもりでも、結果的に、同様の成分のものを複数服用していることになるので、注意が必要だろう。

「また、もともとほかの疾患で、さまざまな薬剤を内服している場合、『薬物相互作用』といって、いわゆる飲み合わせの問題も生じてきます。思わぬ副作用などが生じたり、ほかの薬剤の効果が減弱・増強してしまう危険もあります。皆さんお忙しく、体調不良でも医療機関を受診できない場合、市販薬はとても便利だとは思いますが、薬は非常に危険な一面もありますので、十分注意する必要があると考えられます」

 市販の解熱鎮痛剤が便利なのは事実だが、その便利さに頼りすぎることなく、服用したいものだ。

最終更新:2019/01/26 19:00
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