NGT48騒動の犯人や運営に垣間見える「女性をモノ扱い」する心性

2019/01/20 20:00

連日ワイドショーを賑わせているNGT48の問題。この件が明らかになった1月8日から10日以上経過したが、いまなおこの話題は収束の気配が見えない。

 インターネットで盛り上がる犯人探しを、テレビ・週刊誌が取り上げ、それにインターネットがまた反応する──NGT48メンバーの関与についてや、山口真帆への暴行で逮捕された男たちとの関係などへの憶測が飛び交い、事件の全容はわからないままだ。

 ただ、ひとつだけ確かなことは、このNGT48騒動に登場する男たちの誰もが女性を「モノ扱い」してはばからないということだ。

アイドルとプライベートな関係をもとうとする男たち
 まず、今回の騒動に関わったとされる男たちだ。「週刊文春」(文藝春秋)2019年1月24日号によれば、彼らは「Z軍団」と呼ばれるグループで、リーダーのZは以前NGT48メンバーの中井りかとの半同棲交際を報じられた人物。彼はNMB48、SKE48と各地の48グループを移動し、最終的には中井を目当てに新潟にまで移住してきたと書かれ、誌面では<筋金入りのアイドルハンター>との異名をつけられている。

 「Z軍団」のメンバーはZの成功体験を受けてアイドル喰いを画策。一度に30〜50万円もの金額を握手会に使うほど入れ込んでいったという。逮捕されたAの好きなメンバーは太野彩香、Bの好きなメンバーは山口だったが、1年半ほど前から握手会などの現場に顔を出さなくなったという。

 それは、隠れてNGT48メンバーとの接触に成功していたからだそうだ。ただ、それは、太野でも山口でもなく、また別のメンバーたち。あるメンバーと濃い関係を築いた彼らは山口の向かいの部屋を借り、そこでメンバーたちとの密会を繰り返した。そうして調子に乗った結果、起きたのが今回問題となった暴行事件であるという。

 「FRIDAY」(講談社)2019年2月1日号によれば、新潟警察署の梅田毅副署長が取材のなかで、<被害者の住居に侵入しているのに、住居侵入罪にはならないのか?>という問いに<(犯人たちが)そこにいる根拠があった、ということだと思います>と答えており、犯人たちが同じマンションに部屋を借りていたというのは、ある程度確度の高い情報だと言えそうだ。

 とはいえ、その他の部分については、騒動に対する犯人の男たちの関わり方が「週刊文春」報道の通りなのかはわからない。

 ただ少なくとも、彼らにとって「アイドル」とは、「その活動を応援する」存在ではなく、「プライベートな関係をもつことで自らの男としてのステータスを上げる」存在であったことは読み取れる。

 そこには、多くの女性に声をかけて性的関係を結んでは、肉体関係を成就させた途端切り捨てて、また新しい女性に声をかける──抱いた女性の数を自らのステータスとする「ナンパ師」にも似た心性を見た気がするのである。

ネット民もAKSも、皆が女性を「モノ」扱いしている
 事件の根本に立ち返れば、今回の件で最も心配され、守られるべきは、勇気ある告発を行った山口である。

 しかし、インターネットのなかで犯人探しが面白半分に行われるなかで、いつしか山口に対する心配や配慮はどこかに消えてしまった。

 さらに、真実かどうかわからない情報を当てにして疑惑をもたれているメンバーのSNSに罵倒のコメントを書き込むネットリンチの現象も見られるようになった(仮に真実であったにせよ、部外者がそんな中傷を浴びせる権利などない)。

 面白半分にNGT48の話題を消費するなかで、ネット民たちは相手が人間であることを忘れているのではないか。

 そして、こういった状況をつくりあげたのは、事の詳細を明らかにしようとせず、沈黙したり、下手な言い逃れをするなどしてきた、NGT48運営およびAKSである。

 彼らが出している公式コメントからも山口への配慮などは見られない。運営が最も守らなければいけないメンバーは山口であるはずなのに。

 本日、幕張メッセで行われる予定の握手会は、兼任メンバーの柏木由紀を除くすべてのNGT48メンバーが欠席することになった。

 活動を差し控え、コメントも出さないことで有耶無耶にしようとする運営の思惑とは裏腹に、これからもNGT48の話題はインターネットのオモチャとして消費され続けるだろう。

 その時に一番傷つくのは所属するタレントたちだ。彼女たちを守るためにも運営はこの状況を是正するべく動かなくてはならない。

最終更新:2019/01/20 20:00
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