【特集:子宮筋腫になったら?】

切らない手術より「子宮全摘出」が推奨されるワケ――「子宮筋腫」、婦人科医に聞く治療の選択肢

2019/01/12 19:00

 40代女性の3~4人に1人は持っている「子宮筋腫」。当連載では社会復帰の早さと対応医院の多さという観点に着目し、「子宮動脈塞栓術(以下、UAE)」と「腹腔鏡手術」、2つの手術について取材を行っている。UAE手術の2回目となる今回も、前回に引き続きUAE手術を1998年から行い3,500症例の実績を持つ調布keijinkaiクリニック・瀧康紀医師に気になる再発や費用について話を伺った。

子宮筋腫の5年目の再発率は5~10%

――前編で、子宮筋腫は多発するほど再発しやすい、とお話ありました。UAEの手術後の再発の状況について教えてください。

瀧康紀医師(以下、瀧) UAEの手術における子宮筋腫の5年目の再発率は5~10%です。若い人ほど閉経まで時間があるため、再発しやすいと言えます。

 ですので、40歳の女性100人がUAEの手術を受けたら、5~10人が45歳で再発します。ただ、その次に手術をすると、5年後ですので、閉経のタイミングもやってきますから、手術をしなくても子宮筋腫が閉経で小さくなっていく、というケースもあるでしょう。

――UAEの手術において再発とは、一度壊死した子宮筋腫とはまた別の子宮筋腫が出てくるということでしょうか?

瀧 それもありますし、子宮筋腫につながる血管を塞がれて、枯れたと思われた子宮筋腫の一部に生きている細胞が残っていて、そこが再増大をはじめた、というケースもあります。子宮筋腫において「再発のない治療」というのは子宮を全摘出する以外にありません。胃潰瘍と一緒なんです。胃が残ってる限り、胃潰瘍になる可能性はありますよね。

おへその高さより高い筋腫はUAEの適応外

――大きくなりすぎた子宮筋腫はUAEでは不向きなのでしょうか。

瀧 『Williams 婦人科学』という世界中で読まれている医学書があるのですが、当院の治療法はこちらに則っています。この中で子宮筋腫における「禁忌(医学用語においては、「適応させていけない」という意味)」についても触れられており22~24週の妊娠子宮より大きいサイズの子宮は「相対的な禁忌」と書かれています。より具体的に言えば、おへその高さより高い位置にある子宮筋腫は、UAEの適応外になります。

――「相対的な禁忌」というのは?

瀧 「手術を行っても不利益が多い」ということですね。UAEに限らずどんな治療法も益と不益があります。益が不益を上回るときにその治療法は選択されます。

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