2018年のドラマシーンベスト3

『アンナチュラル』『宇宙を駆けるよだか』……2018年ドラマ名シーンベスト3を選出

2019/01/03 15:00

――『キャラクタードラマの誕生』(河出書房新社)『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ』(宝島新書)などの著書で知られるドラマ評論家・成馬零一氏が、2018年放送のドラマから名シーンベスト3をピックアップ。

『アンナチュラル』/TCエンタテインメント

1位 『アンナチュラル』第5話

 『アンナチュラル』(TBS系)は不自然死の理由を解明する架空の研究機関・UDIラボを舞台にした作品で、法医解剖医の三澄ミコト(石原さとみ)たちUDIのメンバーが魅力的だった。中でも、妻を殺した犯人を探す法医解剖医の中堂系(井浦新)が素晴らしかったが、そんな中堂の哀しさが炸裂したのが第5話。

 物語は、溺死した妻の死因を調べる鈴木巧(泉澤祐希)が、妻の遺体を葬儀場から盗み出し、UDIラボに調査依頼するところから始まる。やがて、死因は自殺ではなく他殺だとわかるが、自殺を偽装した何者かがいるという推理を中堂は鈴木に伝える。

 鈴木は、知人の女性が妻を殺したと確信し、葬儀場に来ていた犯人をその場で刺してしまう。映像はスローモーションになり、米津玄師の挿入歌「Lemon」が流れる。粉雪が舞い散る中、あぜんとするミコトたち。そんな中、中堂だけは虚ろな目で宙を見上げている。自分と同じ境遇の鈴木が復讐を遂げたことに納得しながらも、同時に哀しんでいるようにも見える複雑な表情である。

 ここから物語は折返し地点に入り、妻を何者かに殺された中堂が、鈴木のように犯人を殺すのか? というクライマックスへ向かっていくことになるが、この場面は哀しさと美しさが備わった名シーンだった。

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