インタビュー

絵本/児童書の“萌え絵”論争はなぜ白熱する? 「萌え絵」「マンガ絵」のボーダーを考える

2019/01/02 21:00

萌え絵の定義は「ない」

 ときまつ氏の話によると、萌え絵と少女マンガ絵の違いは、首から下を見ることで“区別”できそうだ。しかし、萌えキャラや萌え絵自体をどう“定義するか”について学生に聞いてみたところ、「答えはない」という結論に至ったとのこと。

「男女ともに、萌えキャラは、ツインテールや巨乳が“定番”とする意見は多かったです。確かにツインテールは、動きを与えることで色気を出しやすい髪形で、かつ可愛らしさもある。それから『顔は童顔だけど体は大人』とする意見もありましたね。ただ、男子学生の中には『自分が可愛いと思うキャラ』『グッズがあったらほしいと思うキャラ』『もしこの子が現実世界に人間として存在したら、付き合いたいと思うキャラ』こそが萌えキャラとする意見も目立っていたんです。これは結局、『その人自身がどう取るか』『いやらしく受け取るか、受け取らないか』によって変わるものなので、萌えキャラや萌え絵の定義に答えはないのではないでしょうか。そうすると、子ども向けの絵本や児童書に『萌え絵が使われている』と捉える人がいること、またそれを否定的に見る人が出てくることも、おかしい話ではありません」

 ときまつ氏は、子ども時代から少女マンガが好きで、大人になってからも、よく読むという人には、河出の「せかいめいさくアニメえほん」シリーズの絵も、抵抗なく受け入れられるのではというが、「あまりマンガを読まない人、マンガが嫌いな人、そもそもマンガを“作品”として捉えていない人からすると、萌え絵と少女マンガ絵が同じに見えるかもしれない」と指摘する。

「そういった方たちには、ぜひ萌え絵が使われていると思う絵本/児童書を、作品としてちゃんと読んでほしいと思います。果たして大人の男性がこれを読んで、性的興奮を覚えるのか……私はそんなことはないと思いますよ」

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