Perfume「30歳の扉を「バ〜ン」って開けたい」発言が素敵。長澤まさみ、綾瀬はるか、新垣結衣も「30代」を前向きに捉えるメッセージ

2018/12/31 20:00

 本日放送される『第69回NHK紅白歌合戦』にPerfumeが出演する。

 Perfumeは「Future Pop 紅白SP」と題して、2018年8月にリリースされたアルバム『Future Pop』のタイトルトラックを『紅白歌合戦』だけの演出でパフォーマンスする予定だ。

 Perfumeといえば、のっちが1988年9月20日生まれ、かしゆかが1988年12月23日生まれ、あ〜ちゃんが1989年2月15日生まれと、今年度に30歳を迎える学年で、早生まれのあ〜ちゃん以外の二人はすでに30歳の節目を迎えている。

 Perfumeが三十路というと隔世の感を禁じ得ないが、そんな人生の節目に際して語った「30代への意気込み」がとても素敵だった。

 2018年11月28日『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト2018』(日本テレビ系)に出演した際、歌唱前にMCの櫻井翔(嵐)とPerfumeとの間でちょっとしたトークがあったのだが、そこでこんなやり取りが交わされたのだ。

櫻井翔:えっ? もうすぐ30代になるの? びっくりですね。
のっち:三人同い年で、私はもう30歳になってて、来月かしゆかで、2月にあ〜ちゃんが(30歳になります)。
櫻井翔:かしゆかさんと、あ〜ちゃん、お二人、20代最後にやりたいこと、いかがですか?
かしゆか:私、もう、やりたいこと全部やらせていただきました。幸せです。
あ〜ちゃん:年重ねるってマジ楽しくて、大人って超楽しいって思ってて。だから、30歳の扉を「バ〜ン」って開けたいです。
櫻井翔:踊ってるとき超楽しそうだもんね。素敵。

 この発言は放送直後からSNSでも話題となり、多くの人の支持を集めた。

 現在のPerfumeが「アイドル」なのか「アーティスト」なのかは人によって捉え方が分かれるところだと思うが(そのような立ち位置を開拓したのも彼女たちの功績である)、ファンのなかに「アイドル」と捉える人が一定数いるのであれば、メンバーが続々と30歳の誕生日を迎えていくことを明るいニュースと言い難いとの認識をしてもおかしくない。そこを、<30歳の扉を「バ〜ン」って開けたいです>と宣言できることは、とても素晴らしいことだ。

 Perfumeの3人がこうした明るい発言をしたことは、社会にも良い影響を与えるはずだ。ロールモデルとなる芸能人の発言は、急速に社会に伝播し、人々の価値観を変えていくからだ。

 そして、そういった動きはもうすでに始まりつつある。

長澤まさみが草笛光子から受けた影響
 長澤まさみもそのひとり。2017年の6月に30歳の誕生日を迎えた彼女は、「ケトル」(太田出版)2018年4月号のインタビューで、30代に入った感慨をこのように語っている。

<今までは長い助走期間で、30歳になってやっと人生の本番が始まった。そういうふうに感じている>

 さらに、長澤は30代になってからの約1年間を、<30代になって、とにかくずっと楽しいんですよ(笑)。以前よりも広い視野で物事を見られるようになったし、心にもゆとりが出てきた。仕事と日常のバランスは今が一番いいですね。多分、20代の頃は余計なところにずっと力が入っていて、それでくたびれてしまっていたと思うんです。30歳、40歳を迎えた先輩方が『今が楽しい』と言っていた理由が、自分がなってみてわかりました>と振り返っている。

 彼女がこのような考えをするようになったのは、先輩たちの生き方や仕事の仕方に、ポジティブな年齢の重ね方を学んだからだった。

 長澤は<私だって年齢を重ねることに対する恐怖はあります。でも、怖さよりも楽しみのほうが勝つんです>と心情を吐露しつつ、それでも年を重ねることに対して前向きになることができている理由を<それは仕事で一緒になる年上の女性に素敵な方が多いのもありますね>と説明する。その<素敵な方>の例として、長澤は2016年の大河ドラマ『真田丸』(NHK)で共演した草笛光子との思い出を語る。

<一昨年に『真田丸』でご一緒した草笛光子さんなんて、本当に少女でしたから。現場では『みっちゃん』と呼ばせてもらっていたくらい(笑)。面白くて大好きで、一緒にいると『こういう女性になりたい』って思うんです>

綾瀬はるか「実は怖かったんです、30歳になるのが」
 綾瀬はるかも長澤のように、溌剌とした先輩の姿に勇気をもらって年齢に対する考え方を改めたひとり。3年前の「VOCE」(講談社)のインタビューでは、<実は怖かったんです、30歳になるのが>と語り、家族などから結婚や出産へのプレッシャーを受けて落ち込んだ過去を吐露した一方、周りの人たちの姿を見たおかげで元気を取り戻したと語っている。

<だけど誕生日が過ぎて少し経つと、30代ってまだまだ若いし、私は楽しく生きてるんだから大丈夫、と前向きな気持ちに変わったんです。そして今は、歳を重ねることがすごく楽しみ。周りに素敵でキレイな40代、50代の方がたくさんいるから、より希望を持てるのかもしれません>

 30代に入るということは単なる人生の通過点に過ぎないし、しかもそれは、まだまだ「助走期間」が終わった程度のものだ──そうした考え方を語っていくことは周囲に前向きな力を与える。

Perfumeと同学年の新垣結衣が語る心境
 新垣結衣はPerfumeのメンバーと同学年で、2018年6月に30歳の誕生日を迎えたが、彼女も手本となる先輩たちのおかげで明るい心境のまま30歳を迎えることができた人のひとりだ。新垣は「オリコン」のインタビューで、30代を目前にした心境を問われた際に、こう答えている。

<「30代は楽しいよ」と女性の先輩方がよくおっしゃっているので、早く30代になりたいです(笑)。きっと経験した人にしかわからないような楽しさが、30代にはあるんじゃないかとワクワクしていて>

 30代を迎えれば、社会的な責任は重くなり、大人として行動することを求められるけれど、だからこそ楽しい。保護者を必要とせず、縛られずに自立することで多くの自由を得られるし、それゆえに子供よりも大人は楽しい。この社会ではやたらと「若さ」にばかり価値を置くが、長い人生、そんなものよりも大切なものはもっと他にある。

 そうした価値観を、市井の人たちに絶大な影響を与える彼女たちのような芸能人が積極的に発信していくことは、「年齢を重ねること」にネガティブな意味を付与しようとする、この社会の価値観を根底から覆すことに大きく寄与するはずだ。

 彼女たち自身が、輝く人生を送っている先輩たちに元気をもらったように、その言葉は多くの人たちの人生を前向きな方向に変えていくだろう。

(倉野尾 実)

最終更新:2018/12/31 20:00
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