【連載】オンナ万引きGメン日誌

「窃盗症(クレプトマニア)には刑罰より治療を」ベテラン万引きGメンの私が納得できないワケ

2018/12/23 16:00
Photo by Photography from AC

 こんにちは、保安員の澄江です。

 先日、執行猶予中にもかかわらず万引きを繰り返して、逮捕起訴された元マラソン選手の原裕美子元被告に対して、再度の執行猶予判決が下されました。原元被告は、現役時代から続く摂食障害、また、衝動を抑えられずに万引きを繰り返してしまう窃盗症(クレプトマニア)の治療を受けているそうで、今回、執行猶予判決となった理由は、「治療の継続は再犯防止に一定程度効果がある。社会内での更生に向けた態勢が整っている」からとのこと。執行猶予中に再度犯罪を犯せば、実刑判決というのが司法のセオリーですが、近頃は窃盗症という病名により、再度の執行猶予判決を得る摂食障害系万引き常習者が増えているのです。

 しかし現場で多くの万引き犯の言動を目撃している私たちは、昨今の“クレプトマニアへ救済の手を”という流れがどうしても理解できません。今回、前後編に分けて、なぜベテラン万引きGメンである私がそう感じているのかを、お伝えしていきたいと思います。前編では、香川大学教育学部准教授で教育心理学・犯罪心理学・社会心理学をご専門にしている大久保智生先生にお話をお聞きしながら、私がクレプトマニアに抱いている違和感を紐解いていこうと思います。

万引き老人
窃盗症はもっと議論が必要な問題
アクセスランキング