【連載】モンペと呼ばないで! ~怒れるママたちの叫び~

「完食教育」でカレーを戻した娘は、陰であだ名をつけられ……母が小学校に怒りの訴え!

2018/12/05 14:07
Photo by Photography from AC

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 ここ最近、幼い子どもを持つ保護者にとって、にわかに話題として上がっている“完食”。その名の通り、給食を残さず食べきるように指導するのが“完食”であり、食育の一環として教育の現場でも捉えられているようだ。しかし昨年、完食を指導された小学校の生徒たちが5人も嘔吐するなど、学校側の行き過ぎた指導がニュースに。子どもに無理をして食べさせる方針は減ってきているそうだが、ゼロになったわけではないだろう。本来なら楽しいはずの給食の時間が苦痛となっては、本末転倒と言える。

 現在、30代になる世代の中には、給食の時間中に食べきれなかった場合、昼休みの時間を使って完食をさせられた苦い思い出や、好き嫌いを言わずにすべて完食しなければ、午後からの授業を受けさせてもらえなかったという経験をした者をいるのではないだろうか。こういった子ども時代に受けた行き過ぎた“完食”指導が、社会人になった時、会食を苦痛と感じる原因となるという説もある。

「もったいない」年配の先生から厳しく指導され……

 関東にある小学校に、小2の娘を通わせている真樹さん(仮名)は、食が細い娘について悩んでいる。

「夫の両親がケアハウスに入居したため、娘が小学校に入学するタイミングで、夫の生まれ育った実家に引っ越してきたんですが、娘は幼稚園で一緒だった友達がいないと、入学当初は泣いてばかりいましたね。しかもこの小学校、明治時代に創立されたため、同じ小学校に通っていたという親世代も多く、地元民の結びつきが強いんです。それも、娘により強い疎外感を与えてしまったのかもしれせん。さらに、ここは給食の指導が厳しく、なにかあると年配の先生が『もったいない』『残さないようにして食べろ』と言うので、娘を追い詰めてしまったようなんです」

 周りの生徒たちは、近隣の幼稚園などが同じような教育方針であるため、“完食指導”に関しては、疑問に感じていないようだという。

「娘が通っていた保育園では、おかずなどは無理させず、『一口だけでも食べられればいい』という考えでした。娘は、元々食が細くて、よく咀嚼しないと飲み込めないんです。でも学校では給食時間が終了すると、すぐにトレーなど返さなければならないため、先生から『あともう少しだ』と言って、無理やり口に入れるように言われたようで……。娘は急いでカレーを口に詰め込み、立ち上がって廊下に出た途端、戻してしまったといいます」

 この一件以来、真樹さんの娘は、同級生から、陰で汚いあだ名で呼ばれたり、「また吐いたら嫌だから」と言われて、給食の時間に同じ班の子から机を離されたという。学校側に、事実確認をし、担任にも配膳量を減らすようにお願いしたというが、“完食”指導自体は変わらなかったそうだ。

「夫に言っても、そのような風習に慣れているらしく、『今は食べられなくても、そのうち体が大きくなったら食べられるようになる』とあまり気にしていないようなんです。娘は、毎日ではありませんが、登校を嫌がる日があり、弁当対応にしてもらう相談をしようか迷っていますが、聞き入れてくれるかどうか」

給食の歴史 (岩波新書)
小学校の先生って、給食の時、やたらヒステリックだったよね
アクセスランキング