【連載】庶民派ブランドの落とし穴

ライトオンの抱える“3つの地雷”――「ユニクロ」「しまむら」と比べ欠けているモノ

2018/11/18 16:00

ライトオンはなぜ不調なのか?

 そんな実は綱渡り状態であるライトオンの“3つの落とし穴”について考えていきましょう。

1.人気タレントの広告起用だけで売れる時代は終わった

 ライトオンの売上高はピーク時には1000億円ありましたが、今では770億円くらいにまで減っています。とはいえ、700億円規模のブランドというとアパレル業界ではそれなりの大手。にもかかわらず、一般消費者からは「ファッション企業」としての認知度はあまり高くありません。それはやはり「昔ながらのジーンズショップ」のイメージをなかなか拭い去ることができないからでしょう。今は不調に陥っているものの、かつて多くの「しまらー」によってファッションブランドとして認知されたしまむらや、一流デザイナーとのコラボを繰り返してブランドステイタスを向上させたユニクロとは、その部分がまったく異なります。いまだに毎シーズンの広告に人気タレントを起用するという90年代の手法にとどまったままです。まったく効果がないとは言いませんが、もはやそれだけで売れるという時代ではないので、もっと抜本的なブランド作りの施策が望まれます。

2.自社ブランド「バックナンバー」の出来に問題アリ

 ライトオンは大手でありながら、「ライトオン」という業態のみでほとんどの売上高を叩き出している極端な一本足打法の企業です。これまでもいろいろと第2、第3のブランドを育てようとしてきましたが、どれも失敗。アバクロの日本版を目指した「フラッシュリポート」も廃止されましたし、トラッドファッションを提案した「ソルト&ペッパー」も立ち上げ直後に担当ディレクターが退職してしまい、鳴かず飛ばずのまま終焉を迎えました。現在、カリフォルニアスタイルに憧れる20~30歳代の男女に向けた新業態「ノーティードッグ」を立ち上げましたが、それほど業績は伸びていません。このままでは数年内に廃止されるでしょう。

 さらにライトオンの物作りにも言及すべき点があります。ジーンズショップ各社はもともと、仕入れ品での品揃えで運営してきましたが、利益を多く残すためには自社製品とのミックス型が望ましいとされています。そのため、ジーンズメイトでは「ブルースタンダード」「メイト」、ライトオンは「バックナンバー」という自社ブランドを展開しています。

 「バックナンバー」は立ち上げから10年前後経過し、ある程度の認知度は高まったと感じるのですが、良い商品と悪い商品の落差が激しく、ブランドとしての安心感に欠ける印象です。それは、品質というより「デザイン」の問題です。これは商品開発から製造までを外部に任せているため、各商品を横断する“統一感”が実現しにくいという理由によるものでしょう。例えばジーンズはすごくカッコいいのに、Tシャツはひどくモサっとしたデザイン……という感じです。またシーズンごとにも商品の出来にバラつきがあるため、今年は良かったが来年はイマイチだったなんてことも珍しくありません。これでは顧客から安定的に支持を得ることは難しいと言えます。

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