インタビュー

絵本・児童書の“萌え絵”論争――「子どもに悪影響」の声に、児童文学評論家が反論

萌え絵は想像力を養わないは本当?

新訳 赤毛のアン<上>完全版』(KADOKAWA)

 絵本に使われる萌え絵は、今を感覚的につかみ取っている子どもたちに認められた絵柄であるということだが、絵本や児童書の萌え絵化に抵抗を示す大人の中には、「表情がはっきりしていることで、子どもの想像力が養われない」といった懸念を抱く人もいるようだ。それゆえ、子ども向けの本には、昔からのフラットなイラストが望ましいというのだが、それに対しても赤木さんは異論を唱える。

「モーツアルトは3歳で交響曲を聞いて飽きませんでしたが、普通の子は寝ますよね。それと同じように、古くからのいいものを受け取るには、その子自身に“いい器”が必要なんです。イラストにしても、最初から昔ながらのフラットな絵に感情や情景を読み取ることができるのは、それを受け止める才能のある子どもだけ。一般人の子にはムリです。もちろん、いい器を育てることもできますが、親が子どもにムリを強いるべきではない。それより『生きているのは楽しいことだ』と思わせることの方がずっと大事ですよ。子どもに、好きな絵本を選ばせることによって、その基盤を作ってあげるべきです」

 赤木氏は、大人の感性を若いわが子に押し付けてはいけないということを、「自分より30歳も年上の人から『この服を着なさい』と言われたらイヤでしょ? 子どもだってそう思っていますよ。絵本選びも同じです」と説明する。

「だから、大人のセンスで絵柄をどうこう言うよりも、子どもを本屋に連れて行って、欲しいというものを買ってやればいいんです。親がすべきなのは、予算を決めることだけ。1カ月の予算を決めてあげたら、子どもは『3カ月分をつぎ込んでも、この図鑑がほしい』などと、すごく考えて本を選びます。そうやって自分の頭で考えて、決断を下せる人間に育てることが大切なんです。その子に才能があろうがなかろうが、頭や顔がよかろうが悪かろうが、親にとって子どもって、生まれた瞬間から愛おしいもの。そんな子が、どんな絵を好きであろうといいじゃないですか」

 赤木氏いわく、「そもそも、本屋にある子ども向けの本に、ろくでもないものは売っていません。みんな牙も爪も抜かれているから(笑)」とのこと。ならばなおさら、大人の古いセンスで絵本や児童書の萌え絵化を議論するのは、ナンセンスということなのかもしれない。
(取材・文=千葉こころ)

赤木かん子(あかぎ・かんこ)
児童文学評論家。長野県松本市生まれ、千葉育ち。法政大学英文学科卒業。1984年に、子どもの頃に読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として、本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介・書評などで活躍している。著書多数。
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しぃちゃん

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