大塚愛は「オワコン」なのか? 女性シンガーソングライターが、アイドル歌手として売れた“その後”

2018/10/08 20:00

 歌手の大塚愛(36)が、今年デビュー15周年を迎えた。2019年1月にはベストアルバム『愛 am BEST, too』をリリースすることを発表し、大塚愛のアーティスト人生における節目を彩るという。しかし、近年の大塚愛の活動は全盛期ほどの盛り上がりは見せておらず、一部のネット上で「オワコン」などと揶揄されている状態だ。

 2003年にシングル『桃ノ花ビラ』でメジャーデビューした大塚愛は、同年にリリースした2ndシングル『さくらんぼ』が大ヒット。売り上げは70万枚を超え、当時まだ大衆の熱狂とともにあったオリコンのランキングでも5位にランクインし、一気にスターダムを駆け上がった。その後も2005年発売の『SMILY』や『プラネタリウム』など大ヒット曲を連発しており、2000年代に一世を風靡したアーティストだったといえるだろう。

 一方で、近年の大塚愛の状況はというと、今年9月5日にシングル『ドラセナ』を発売しているが、オリコンが発表した9月17日付けの「週間シングルランキング」では49位にランクイン。売り上げ枚数は922枚と、寂しい数字を記録している。このことを挙げつらい、ネットでは「オワコン」「むしろまだ活動してたのか」などと、大塚愛をなじる悪口が幅を利かせているようだ。

 しかし、こうしたアンチの言い分は冷静さを欠いているように思う。今どきCD枚数の売り上げやオリコンランキングで人気を計るのはナンセンスだろう。大塚愛はiTunesで楽曲配信も行っており、こちらのダウンロード状況は好調だ。今年8月にリリースしたアルバム『Single Collection:LOVE IS BORN ~15th Anniversary 2018~』は、iTunesのJ-POPチャートでトップ10に入っている(2018年10月現在)。

大塚愛はアーティストだったか、アイドルだったか?
 なぜ、大塚愛を「オワコン」扱いする声があるのか。その理由は、かつて大塚愛が元気いっぱいに『さくらんぼ』を歌っていた頃に遡るかも知れない。

 大塚愛はデビュー当時から、自分で作詞・作曲を行っており、正統派のシンガーソングライターとして売り出されても良かったはずだ。しかし大塚愛は当時、その容姿の可愛らしさや男性ファンの多さから、まるでアイドルのような扱いを受けていた。2005年にフジテレビが製作したDVDドラマ『東京フレンズ』(2006年には同名で映画化)では、主演に抜擢。2006年に「ORICON STYLE」が行った「恋人にしたい女性アーティスト 」のアンケートでは、1位に輝いたこともある。その楽曲が正しく評価を受け、アーティストとしてみなされていたかといえば疑問だ。

 2010年6月、大塚愛は28歳でRIP SLYMEのSU(28)と入籍を発表した。同年9月には、ライブ中に妊娠を公表している。この結婚に際して、SUが「大塚さんのファンやスタッフに申し訳ない気持ちでいっぱいです」と、謝罪とも取れる表現を用いたことも話題を呼んでいた。この言葉は当時、大塚愛の立ち位置がいかにアイドルに近かったかを示しているだろう。

 結婚や妊娠、そして出産というライフイベントも経て、大塚愛は大人の女性へと変貌していった。この頃から楽曲も、次第に落ち着いたトーンに変わっていくが、大塚愛の人気が収束していったのもこの時期を前後する。アイドルとしての大塚愛のファンが離れていったであろうことは、想像に難くない。

 その意味では、水泳選手・萩野公介(24)との熱愛が浮上した歌手のmiwa(28)も、同じ道を辿りそうで心配だ。miwaも自分で作詞作曲をこなす立派なシンガーソングライターなのだが、その人気はmiwaのアイドル的素養に基づいているように見える。

 もし大塚愛が、デビュー当初からシンガーソングライターとしての正統な扱いを受けていたら……「もしも」の話をしても意味はないが、あるいは現在もアーティストとしての人気を維持していたかも知れない。結婚や出産を経ても人気を保てる「アイドル」は稀だが、「アーティスト」ならば、活躍を続ける例はまったく珍しくない。

 大塚愛は、10月4日に封切りの舞台『カレフォン』で、音楽を担当している。同舞台の作・演出を手がける演出家・鈴木おさむ(46)直々のオファーで、主題歌の『Dear, you』は、15歳の頃に書いたメロディーが元になって製作されたというのだから、その才能には驚きだ。また最近は、アイドルグループへの楽曲提供も行っており、大塚愛の活動は全盛期よりも幅を広げている。

(ボンゾ)

最終更新:2018/10/08 20:00
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