[おちぶれ続けるアラフォー風俗嬢と男たち]

アラフォー風俗嬢が見た、超高齢化社会における老人のデリヘル遊びの悲しみ

2018/09/30 21:00
Photo by Photography from AC

――デリヘルで風俗デビューし、出稼ぎ&吉原ソープを掛け持ちした後、現在は素人童貞などSEXに自信のない悩める男性のためにプライベートレッスンを行うアラフォー風俗嬢が、男たちの姿をつづります。

 熟女デリヘルで働いていた時にご指名いただいた、優に70歳は超えているおじいさん。田舎のおじいさんだから、いまどき携帯電話も持っていない。指定されたラブホテルに入ったら、部屋によく置いてある無料のデリヘル冊子が開かれていて、備え付け電話でデリヘルを呼んだ形跡があった。

 しかも、バスタオル2枚とフェースタオル2枚が使用済みで床がびちゃびちゃ。バスタブも湯が張られたまま。どうやら私の前にもデリヘル嬢を呼んでたらしい。おじいさんは、好みじゃなかったから途中で帰ってもらったと言う。好みじゃないって、風呂まで一緒に入らせておいて、それはないだろうに……。あきらめが悪いというか、相当気に障ったのか?

 明らかにプレイをした痕跡のある乱れたベッドや、水浸しのお風呂場やタオル。いくら不特定多数のちんこを舐める仕事をしていても、さすがに知らない嬢の使った、びしょびしょの汚いタオルは使いたくない。猫の糞尿まみれの家に行ったとき、お客さんから使用済みの濡れタオルを渡され「これで体を拭け」と言われたトラウマがよみがえる。仕方ないので自分でフロントに電話して、新しいタオルを貸してくださいと言ったら「1,600円になります」と言われて驚愕。アホみたいに高いので、ドライバーさんに電話してタオルを持ってきてもらった。

 そのやりとりをボケーっと座ったまま眺めていたおじいさん。バスタブを洗って、お湯の入れ替えやらなにやらで、部屋の仕切り直しも終え、やっとプレイ前のシャワーに。体を洗い終え、しばらくバスタブに浸かってもらっていても、出ようとか動く気配や話しかけても反応がない。「私は先に出ますね。温まったら出てきてくださいね~」と言ったが、一向に出てこない。迎えに行った方がいいのか? でも、急かすことで1人目の嬢みたいに怒らせて追い返されても嫌だし、と10分くらいテレビを見て待っていた。

 ようやく出てきて、黙ったままベッドに横になったので、黙々とフェラをし始めるが、一向に勃たない。そりゃあ、じーさんだから仕方ない。おじいさんにもなると、勃起もほぼしないし、射精しても精子はほぼ透明だ。でもイクことはできる。ここであきらめるのは私のプライドが許さない。半勃ちでもいいから、とにかくイってもらおうと頑張った。

 相変わらず、おじーさんは無言。「おぉ! 少し硬くなってきた!!」と、思った瞬間にイビキが。その途端、ふにゃちんに逆戻り。ため息とともに「あぁ~もう知らない」と思った。いちいち起こすのも面倒だし、おじーさん、眠ってしまった自分が悪いぞ。でも、あえて起こさず、そのまま手コキとフェラをし続けてみた。20分? 30分? どれだけ過ぎたかわからないほど、ひたすら手コキをする無言の時間は長く感じた。そんな無言の単調作業で、こちらにも睡魔が。手コキ中やクンニ中に寝てしまうのは、風俗嬢あるあるだ。相手も寝てるからまいっか……。

 そして、アラームが鳴る数秒前に起こして終了。ゴロゴロしててベッドから起き上がる気配もなく、声をかけても反応がないので、私だけそそくさとシャワーを浴びて退室。私が着替えている間、こちらに目もくれず会話もせずに、おじいさんはベッドの上でなぜかローターをいじっていた。また続けてデリヘル嬢でも呼ぶ気か?

◎記憶があいまいでも性欲だけは残る
 言葉を発しないから、一体何がしたいのか理解不能。もしかして認知症の症状が出たり消えたりしているのか? 不謹慎かもしれないけどそう思ったのは事実で、なんだか超高齢化社会におけるデリヘル利用者の本質を見た気がした。

 昔でいう痴呆症の症状があっても性的欲求は抑えられない、むしろ強くなる人もいるとか聞くし、老人ホームでは入居者さん同士の無自覚のレイプ事件もあると、何かで読んだ。おじいさんも、頭がはっきりしているときにデリヘルを呼んでみたものの、途中で曇ってしまい、呼んだ覚えはないと帰してしまった……あり得そうだ。

 何がしたいのかよくわからなかったけれど、そう思うと一気に怒りではなく悲しみがこみ上げてきた。寂しい孤独な老人の、いくつになってもやりたくなる性に。結局人間は、睡眠欲、食欲、性欲の3つの欲求をただひたすら満足させるために、繰り返し毎日を生きているだけの生き物なのかもしれない。風俗という世界で生きていると、日々そう思えてならない。

*曼荼羅*(まんだら)
デリヘルで風俗デビューし、出稼ぎ&吉原ソープを掛け持ちした後、現在は素人童貞などSEXに自信のない悩める男性のためにプライベートレッスンをしているアラフォー風俗嬢。子宮筋腫と腎臓の手術経験があり、現在は子宮頸がん中等度異形成持ち。売りはHカップのおっぱい。
ブログ「続・おちぶれ続けるアラフォーでぶ女の赤字返済計画
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最終更新:2018/09/30 21:00
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