【連載】庶民派ブランドの落とし穴

GAPが抱える“3つの地雷”! 「年々生地が薄くなる」低品質Tシャツに消費者げんなり?

2018/09/29 16:00

GAPが日本で苦戦する3つの理由

 さて、日本国内でGAPが苦戦している理由はなんでしょうか。その理由を3つ挙げてみたいと思います。

1.リーズナブルじゃないのに、投げ売りバーゲンのギャップ

 95年に日本に上陸した当初は、「アメリカのリーズナブル価格ブランド」と見なされており、そのイメージは現在も引き継がれています。しかし、日本での店頭定価は、果たして“リーズナブル”なのか、甚だ疑問に感じます。例えば、ジーンズですが、ユニクロや無印良品とは異なり、シーズンごとに価格が変動しますが、だいたい8,000~1万3,000円くらいの間の設定。8,000円くらいの年もあれば、1万2,000円くらいの年もあるという具合です。超高額だとはいいませんが、3,990円のユニクロや3,900円の無印良品に比べると「高い」と言わざるを得ません。

 ただ、別に高くても、それが大幅な値崩れを起こさなければ消費者は根付けを信用しますし、バーゲンで半額になる程度のことなら消費者は織り込み済みでしょう。しかし、GAPの問題点は、半額どころではないほどの値下げを行うところにあります。GAPの大幅値下げは2000年頃からすでに有名で、例えば1万2,000円したジーンズが最終的に1,900円に、また、7,800円のスエットパーカが最終的に580円に値下がりするなんてことが、毎シーズンあります。これが10年以上にわたって繰り返されてきたのですから、消費者からすると「GAPは定価で買ったら損」「どうせ値下がりするんだから待てばいい」という認識になるでしょう。おまけに、アメリカ流の大量生産・大量販売ですから、よほどの人気商品でない限り、定価で売り切れることはほとんどありません。それに気づいている消費者の間には、「GAPはタダ同然の値段まで下がる」という待ちの姿勢まで定着してしまいました。

 そしてこれが、日本でのオールドネイビーを苦境に追い込んだ要因ともいえます。オールドネイビーは、GAPよりも低価格ブランドという位置づけなのですが、日本ではGAPは定価こそ高いものの、待てば1,000円くらいまで値下がりするのです。日本の消費者からすると、値下がりしたGAPで買えばオールドネイビーは要らないということになります。バナナ・リパブリックにも、同様の価格問題は常にありますから、GAP社という会社の考え方が基本的に間違っているのだと考えられます。

2.Tシャツ類やセーターは、原料の節約丸わかり!?

 GAPにはときどき、非常に低品質な商品が見受けられます。もちろんそれなりの品質を誇る商品もありますが、それとの落差が激しい品番が一部にあるのです。個人的な評価でいうと、ジーンズやGジャン、厚手カジュアルジャケット類の品質はそれなりではあるものの、Tシャツ類、セーターの品質はイマイチだと感じます。特にTシャツは、年々生地が薄くなっているような印象も。生地が薄いというだけなら好みの問題ですが、編み目がスカスカで低密度なものが多く、これは露骨に材料を節約しているといえます。薄くても編み目が詰まっている高密度なものとはまったく違うのです。こうしたあからさまに品質の悪いものを展開され、消費者もガッカリしているのではないでしょうか。

3.一部の日本人にしか好まれないアメカジテイスト

 GAPのメンズ商品は、いわゆる“アメカジ”に特化しています。中にはデザイン物もありますが、ジーンズとロゴプリントを施したTシャツが目につき、テイストが単調なのです。また、このアメカジというのも、問題点をはらんでいます。最近のジーンズカジュアル専門店チェーンの低迷や、似たようなテイストで後発上陸したアメリカンイーグルの苦戦を見ていても、日本においてアメカジは一定数のファンはいるものの、日本人全体の好みにまで広がりにくいジャンルであることがわかるのです。ちなみに、バナナ・リパブリックはアメカジではなく、ドレスカジュアルテイストですが、これもまた日本人にはとっつきにくいテイストだといえるでしょう。ユニクロや無印良品の好調を見ていると、日本人は、アメカジとドレスカジュアルの中間が最も好みのテイストではないかと思います。

 さて、GAPはこれらの欠点を改良して、もう一度日本市場で存在感を高められるのか? それとも米国本国を重視し、不振の日本からは完全撤退してしまうのか? どちらの道を選ぶのか、見守りましょう。
(南充浩)

最終更新:2018/09/29 16:00
GAP SWEATER レディース US サイズ: Large カラー: ブルー
GAPのTシャツ、薄さで勝負してるレベルで薄い
アクセスランキング