仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

“処女性”重視はもう古い? 須藤凜々花、「アイドルが結婚すること」への意識に思うこと

2018/08/23 22:14

AKBグループのシステムを否定した須藤凜々花

 平成に入り、女性アイドルグループ・AKB48が生まれた。総合プロデューサー・秋元康氏は、『今日は一日“AKB”三昧 IN幕張メッセ』(NHK‐FM)に出演した際、「恋愛禁止とは一度も言っていない」と説明したが、「週刊文春」(文藝春秋社)に恋愛を報じられた峯岸みなみや、指原莉乃がペナルティーを受けていることを考えると、恋愛禁止は暗黙の了解と言える。恋愛は処女性をわかりやすく汚すからだろう。

 企業の株を買うと、支払った金額に応じで議決権が与えられ、会社の決定にNOを突きつけることができる。たくさん株を買うほど、その権利は大きくなるし、会社も大株主の顔色を気にするようになるが、この仕組みは「AKB48選抜総選挙」によく似ている。AKBには、シングル曲を歌うメンバーをファンによる総選挙で選ぶシステムがあり、ファンはCDを買ったり、ファンクラブに入会したりなどしなければ、投票券を手にすることはできない。となると、アイドルは、お金持ちのファンをつかむか、ファンに無理をさせてでも投票してもらう必要がある。そこで処女性を訴えることが有効な手段となるのだが、そのスタイルを自ら壊したのが、元NMB48の須藤凜々花である。

 「第9回AKB総選挙」で20位に食い込むものの、その場で結婚宣言をしてみせた須藤。この爆弾発言には、須藤に“投資”したファンだけでなく、メンバーも好意的とは言えない態度を見せていた。その後NMBを脱退したものの、芸能界を引退することはなく、現在は結婚してタレントとして活動している。

 『有田哲平の夢なら醒めないで』(TBS系)の「ネットをざわつかせる過激女子SP」に出演した須藤は、ほかのアイドルは週刊誌にすっぱ抜かれてからしぶしぶ交際を認めるが、自分は潔く言った、ほかのアイドルのようにワンナイトではなく、ちゃんと結婚していると主張、自分を叩くなら、そういうアイドルを叩けとも付け加えたのだ。同番組司会者のくりぃむしちゅー・有田哲平は、「お金をかけて一生懸命応援している側からすれば、『みなさんが恋人です』みたいなことを言って、実は(彼氏がいる、しかも結婚する)というのが一番落ち込む」と言い、須藤が叩かれたのはAKBグループの投資システム上、当然のことだと説明したものの、須藤は「(ファンは)アイドルの幸せを思って応援しているんじゃないですか?」と意に介さない。

 総選挙で順位を上げつつあるのに、その地位を捨て、ファンを裏切って結婚をする。それだけ須藤にとって、相手の男性は大事な存在と考えられるだろう。しかし、番組での態度を見ると、須藤から殊勝さは感じられず、あっけらかんとしている。それは須藤のキャラクターというよりも、「アイドルがグループを脱退して結婚すること」に対する須藤の意識やイメージが、そうさせているように思える。

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っていうか、結婚してからの方が山あり谷ありよ
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