インタビュー後編

ディズニーランド、“ブラック体質”の土壌は? 従業員が「夢の国に縛られる」という魔術

従業員を縛る“夢の国”というイメージ

――ブラック企業体質について、従業員たちはどのように感じているのでしょうか?

 多くの従業員は、ディズニーランドで働くことに一種のステイタスを感じていて、「ディズニーランドは夢の国」であることを、とても大切にしています。なのはなユニオンに相談に来るパフォーマーや出演者は、自分がどの役を演じていたか、演じているかを絶対に明かしません。会社と誓約書を交わしているということもあると思いますが、働く人自らが「夢を壊さない」と決意している感があります。

 恐らく、賃金の問題や労働環境などの“リアル”を表立たせてしまう行為は、夢の国にはふさわしくないと捉えている従業員が多いのでは。「昨日や明日がリアルにあふれていたとしても、夢の国で働いている今日にリアルはない」と思っているのではないでしょうか。

――とは言っても、厳しい労働環境に不平不満が出てくるのが人間だと思うのですが……。

 以前、あるパフォーマーが「ディズニーランドでゲストが見せてくれる笑顔は特別。そのためなら、どんなことも我慢できる」と言っていて、そのくらい、皆さん夢の国ディズニーランドに自分の夢を重ねているのではないかと思います。

 だから、労働環境に問題があると思っても、声を上げづらい空気が覆っているし、もし、労働問題という“現実”に向き合い、声を上げたとしても、みんなが同じ状況で我慢しているのだからと、“夢の国”に引き戻されてしまう面もあるようです。でも、日々、劣悪な労働環境におかれれば、いくら夢の国のためと思っても、現実には、我慢しなければならないというストレスがたまります。そのストレスがパワハラやいじめの温床になっていっているのではないかと思います。

――前編で、なのはなユニオンへの相談事例をお聞きした際、オリエンタルランドと揉めたのに、雇用継続を希望する方がいることに驚いたんですが、その理由がわかった気がします。

 労働環境に疑問を持った人や耐えられなくなった人、病気やケガなどで続けられなくなってしまった人は、黙って辞めていきます。ちなみに、オリエンタルランドの全従業員でみる離職率は1年間で50%と言われています。一般的に、ブラック企業は離職率が3年間で30%とされているので、数字面でみると、オリエンタルランドは相当なブラック企業といえるでしょう。会社側は「大学生バイトが就職を機に辞めていくから」などと説明しているものの、理由はどうあれ、離職率はかなりの高さです。それでも、ディズニーランド大好きで入ってくる人はたくさんいるし、「やりがい」で働き続ける人もいて、会社側には大きなデメリットがないため、改善が見られないという面もあると思います。

――いわゆるやりがい搾取ですね。着ぐるみアクターの女性従業員2人が、安全配慮義務違反でオリエンタルランドを提訴したのは、かなり思いきった行動だったということでしょうか。

 1人は、以前からパワハラ問題に悩んでいたものの、「もう少し我慢する」と数年間耐えていたんです。そもそも、現場で直接上司や同僚に問題改善を訴えたところで、「役を外す」「嫌なら辞めたら」などと言われるのが目に見えるので、もの言わない風潮があるんですよね。

 社会的には、働く人たちが声を上げて、労働環境を良くしていこうという動きが生まれつつあるのに、オリエンタルランドでは“夢の国”に縛られて、互いに黙っていることを良しとする土壌があるので、「改善しなきゃいけない」という方向になかなか進まないのだと思います。それでも「変えていかなければいけない」と、このたび立ち上がったのですが、残念ながら職場では「問題を大きくするな」「これまで守ってきた夢を壊すのか」と厳しい目で見られ、「頑張れ」のエールは今のところはないです。「私も」と続けて声を上げてほしいと願いますが。

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ミッキーよ、従業員にも素敵な夢を見させてやってよね

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