インタビュー【前編】

ディズニーランドで働く人の“ブラック”な実情――「パワハラ」「雇い止め」悪しき問題の数々

2018/08/30 19:00

労働組合に入っても問題は改善されない

――昨年の春、オリエンタルランドが、非正規雇用従業員を労働組合の組合員にした動きは、ブラック企業体質脱却への第一歩と感じましたが、実際に目に見えた変化はあったのでしょうか?

鴨桃代氏(以下、鴨) 組合に入ると「組合費」を徴収されるのですが、「それを支払っても手取り額は維持されるから」として、組合加入を呼びかけたということで、時給がアップしました。そのほかに変化を感じる出来事はないですね。

 もともとは約2,000人いる正社員のための組合だったOFSが会社と協定を結び、これまで対象外だった約2万人の非正規雇用従業員を組合に加入させたので、非正規雇用従業員の賃金や労働条件の改善を期待したのですが……。実際は、「ステンレスボトルの携帯が可能となった」ということはあったものの、OFSの主たる活動はバスツアー、ボーリング大会や貸切映画鑑賞などのレクリエーションのようです。

――改善が見られないのはなぜでしょうか?

 昨年の春以前にも、非正規雇用従業員の労働問題は存在していましたが、OFSは取り合いませんでした。それで、私どものような労働組合ができたのですが、非正規雇用従業員が組合員になってからも姿勢は変わらず、問題を積極的に取り上げて対処していないようなので、大きな変化が見られないのだと思います。もし、OFSが働いている人の立場に立って、組合として問題解決のために動くというスタンスであれば、問題を改善する動きが集中していくと思うのですが、現段階ではカタチとして組合ができたとしか思えない状況なので、今でも私たちのところへ、非正規雇用従業員の方が相談に来られるのだと思います。

――非正規雇用従業員を組合員にした意味があまり感じられませんよね。

 会社側と「36協定(残業や休日労働を行う場合に必要な手続き)」などの労使協定を結ぶには、全従業員の過半数を超える組合員数が必要なのですが、OFSの組合員は、全従業員の2割程度の正社員だけだったので、労使協定を結ぶ対象にはなりません。その場合「過半数代表者(労働者の過半数を代表する者)」による協定が締結されたとしても、民主的選出手続きを経ていなければ、もし対象とならない8割の非正規雇用従業員から協定内容を問題視する声が上がったりしたら、その協定は法的には無効です。そうしたこともあり、全従業員を組合員の対象にしたのではないかと思います。

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