日大チア部のパワハラといじめ問題、チアリーディング経験者が独特の同調圧力に言及

2018/08/13 20:00

 信頼関係や絆を求めるがあまり、他者を尊重できなかった

 彼女たちの大学のチア部は、大会や学祭などで行う演技の構成や選曲編集も、事務的なあれこれ(大会のエントリー、講習会やサマーキャンプの申し込み、ユニフォームやTシャツやジャージのオーダー、お金や備品の管理など)もほぼ全部、部員たちでまかなっていた。練習以外でも部員同士、特に同学年同士が一緒にいる時間は長かった。

「上下関係が厳しい分、同学年同士の絆・つながりを大切にして、お互いのことをなるべく知っておこう、把握しておこう、という風潮で、何かにつけて“みんな”で話し合い、いわゆる学年ミーティングが開催されました」(Uさん)

 それぞれの考えや気持ちや事情を理解しようというよりも、決まった“正しさ”や“理想”に向かっていかにして足並みを揃えるか。空気を読むことが強く求められる場。日大の部員が発表した文書の中に、学年ミーティングについて<私に対して言いたいことを全員が言うためのミーティングでした>とあったが、Uさんがいたチームでもそういった場面は多々あったという。

「たとえ同学年全員が1人の部員に対して怒っていたとしても、全員でその子を槍玉にあげるのではなく誰かが代表して間に入ればいいのに、“これは学年全員の問題だから”と、“みんな”で1人に対して注意するのが慣例化していました。
言われた側にはあまりにもキツイ状況だけれど、“正しい”ことを言っている気満々の“みんな”は、そのアンフェアに気づけない。もちろん上辺だけじゃなく本当に心を入れ替え仲良くなること前提での話し合いなのですが……。
そもそも距離感が近すぎるというか、相手のことに踏み込み過ぎるきらいがあったと思います。チアはスタンツとか肌と肌が触れ合うスポーツだから信頼関係は大切だ、と高校時代も言われていたし、嫌いな相手とスタンツを組むのはしんどいから(笑)、信頼が大切なのは間違いありません。だけど相手の心に土足で踏み込むのはマズかったなと今はわかります。
そうは言っても、大学生って本人たちは“ほぼ大人”の気でいるけど実際はまだ子どもだから、腹を割って話すのと、土足で踏み込むのを履き違えてしまうんじゃないでしょうか。『同じ部の同学年同士にプライバシーも何もない』なんて言い出す子もいました」(Uさん)

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