【連載】モンペと呼ばないで! ~怒れるママたちの叫び~

「トイレトレーニング」は保育士の仕事? 多忙ママが、園にとって“モンペ”となるワケ

2018/07/10 17:00
toitore710
Photo by Photography from AC

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 アラサーやアラフォー世代が子どもだった頃と比べ、現代は共働きの家庭も増え、時間に追われるように過ごしているママたちも多い。そんな中、育児に関して、何でもかんでも保育園や幼稚園に頼る保護者が、保育士の間で問題視されているという。「忙しいので、保育園にお願いしたい」と思うママたち、一方で「それはご家庭でやってください」という心情を抱える保育士たち―—それぞれの声を見ていこう。

 保育士の中で、「家庭での協力が必要である」といわれているという “トイレトレーニング”。しかし、なかには保育園に任せきりの保護者も多いそうだ。認証型保育園に2歳になる娘を通わせている紀子さん(仮名)は、こう語る。

「娘は今、2歳児のクラスにいて、園では少しずつ、おむつを外して幼児用の洋式便座でのトイレトレーニングを始めています。そのため、保育士から家でもおむつではなくパンツで過ごすように言われているのですが、正直困っていますね。家で一緒にいる時間に排泄のトレーニングを行うと、帰宅後の時間が足りないんです。午後6時過ぎに迎えに行って、夕飯を食べさせて、お風呂に入れて、寝かしつけして。平日はほぼワンオペ育児なので、そこにトイレトレーニングも加わったら、自分の時間が持てません」

 トイレトレーニングは、子どもによって、おむつが外れる時期にばらつきがあるため、根気が必要だと言える。排泄を口で伝えることができない幼児には、“トイレに行こう”と促し、ズボンの下に穿いている下着を下ろすのも手伝い、女児の場合は、便座の上に座らせて落ちないように支えて排泄の介助をするというのが一般的だ。男児の場合は、尿を飛び散らかさないに気を付けさせる。トレパンの時にお漏らしをしたら下着や服を洗う、濡れた床を拭く、寝ているときに排泄をしてしまったらシーツを洗って消毒をする……。洗濯物が乾きやすい夏にスタートするのがベストといわれているものの、まだプレ幼稚園にも通わせず、自宅育児をしている2歳児のママからすれば、トイレトレーニングは気が遠くなる作業だという。

 満3歳児からの入園が主な幼稚園では、入園前のトイレトレーニング(おむつ外れ)をお願いしているケースもある。それに反し、自宅にいる時間よりも園で過ごす時間が長い保育園児は、否が応にもトイレトレーニングを保育士が担う部分が多い。小規模保育園で2歳児クラスの保育士をしている秋元さん(仮名)は、「うちの園では2歳児クラスに進級すると、家でのトイレトレーニングをお願いしています。でも、休みの日はディズニーランドなどレジャー施設に出かけたり、祖父母の家に帰省したりと、長時間移動するためにおむつを穿かされている子もいるんです。家でおむつを穿いて過ごしている子は、『なんで園だとおむつを穿いてはいけないの?』と言い出し、トイレトレーニングがうまくいかないんです」と、困惑した表情を見せた。

 近年は、待機児童問題から、入りやすいとされる“0歳児入園”が当たり前となり、保育園に預けている時間が長いため、親が生活の中で教えてきたトイレでの排泄というような手間がかかる躾を、保育士が行っているといえる。なかには、「子どもが粗相をした下着を軽い水洗いで返すと、『きちんと洗ってください』と言ってくる親もいます。そもそもトイレトレーニングはご家庭でやるべきものなのに」(秋元さん)との声も。保育士と、親が教えるべき躾の境界が曖昧になってきているのかもしれない。

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